- 「金泥(きんでい)」とは日本画や漆工芸等で使う純金絵具!
- 金泥は仏画から現代表現まで使われる歴史的な画材!
- 金泥は通販で購入できちゃう?!
- 代用は新しい日本画絵具がおススメ!
- どこまで知ってる?金箔、砂子、截金!
こんにちは、日本画家の深町聡美です。
皆さんは金泥を使ったことがありますか?
純金から作られた金泥は、とても高価な日本画絵具!
真鍮やアルミを加工した物もありますが、
膠で溶いて焙って…
という手間はハードル高いな~という方も多いと思います。
そこで今回は、金泥を使った名画や取扱店を紹介し、
さらに金泥の代用になる絵具をご紹介していきます!
金泥経験者も、「これしってる!」と思いながら
楽しんで頂ければ幸いです!
⇒日本画の神髄を極める!金泥の使い方とオリジナル色の泥作り方法を完全解説
Contents
読み方知ってる?日本画の金泥とは?
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/06/muillu-W2271adLWyo-unsplash-1024x683.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog3_1_question.png)
「金泥」ってなに?なんて読むの?
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/01/AF670F0D-5F2E-4032-99EF-8C9CC0AEAD26.png)
「きんでい・こんでい」と読みます!
泥と書きますが、ただの泥ではありません!
金泥とは「きんでい」「こんでい」と読む、
非常に細かい金色の粉です!
観光地のソフトクリームに乗っている
金箔ってありますよね?
あの金箔を細かく粉状にしたものなんです!
これを膠(にかわ)という動物性の糊で混ぜて、
泥のような見た目の絵具にして使います。
「消し粉」(けしふん)とも呼ばれます。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/12/写真-2022-12-13-11-30-55-e1701993103566.png)
主に関東で「消し粉」と呼ばれていました。
この金泥ですが、単なる「金色」ではありません。
「純金」や「純銀」「プラチナ」の粉もあるんです!
純金の金泥です!
使う時は膠と練り混ぜて、
普通の日本画絵具のように水で溶いて使います。
詳しい使い方はこちらから!
⇒日本画の神髄を極める!金泥の使い方とオリジナル色の泥作り方法を完全解説
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog2_1_idea.png)
金泥は、昔からある金色の絵具なんだね!
なんで「消し」粉?名前の由来
図解日本画用語事典 [ 東京芸術大学 ]によると消し粉の由来は二つあるとされています。
一つは泥状の絵具として使うと、箔のときの艶が消えるため。
もう一つは顔料(絵具)の上から金泥を塗ると、顔料の発色が消えるためです。
金泥が使われている日本画作品は何がある?
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/06/640px-KOETSU-Tsuru-emaki-1.jpg)
日本では古くから金泥、銀泥が使われてきました。
上の画像は俵屋宗達が描いた
『鶴下絵三十六歌仙和歌巻』(京都国立博物館所蔵)
という絵です。
文字の背景に鶴の群れが描かれていますね。
これらの鶴の身体は銀泥で、脚や嘴は金泥で描かれています。
今では黒っぽく見える鶴の身体も、
描かれた当時は真っ白だったそう。
本物の銀泥が使われているからこそ、黒くなっているのです。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog2_1_idea.png)
描かれたときは、まさに「文字の背景」だったんだね!
復元された真っ白な鶴は
こちらの本でご覧いただけます!
また、金泥の輝きは主に仏画で活用されました。
仏様の身体の特徴を記した「三十二相八十種好」では、
身体の色は金色とされています。
その金色を表現するために金泥が使われたのです。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/06/313px-Amida_Triad_Tottori.jpg)
wikipediaパブリックドメイン
特に鎌倉時代には「悉皆金色(しつかいこんじき)」
と呼ばれる表現技法が発達しています。
これは金箔や金泥、截金(きりがね)をフル活用した、
仏様の神々しさを表現するための技法です。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog2_1_idea.png)
平安末期に到来した末法時代を信仰で乗り切るために発達したのかも!?
近代では横山大観の富士山の絵が有名です。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/06/Yokoyama_Taikan_Art_stamp_50Yen.jpg)
金泥を使って霞や雲を描いていたんですね。
このように、金泥は単に金色を表すためでなく、
神々しさを表すためにも使われていたのです!
そんな伝統と美しさを持つ金泥。
現在ではどこで入手できるのでしょうか?
日本画の金泥は通販で買える!オススメショップ紹介!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/01/IMG_4344-1024x740.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog3_1_question.png)
金泥ってどこで売っているの?
どこのお店がオススメ?
ということで、この章では金泥を購入できるお店を紹介いたします!
日本画の金泥が買えるお店①絵具屋三吉
品数が多く、総合的にオススメできるお店です!
サイト構成もオーソドックスで、商品検索も簡単!
非常に購入しやすい作りになっています!
日本画の金泥が買えるお店②喜屋
こちらも品数が多く、欲しいものが必ず手に入るお店です!
カタログを取り寄せれば、写真を見ながら商品を注文可能!
一覧性では他の追随を許しません!
一方でメール、ファックスでの注文に限られるので、
慣れないうちは戸惑う事があるかもしれません。
ただしやり取りはとてもスムーズで丁寧です!
まずはカタログの注文から始めてみましょう!
金泥、白金泥は時価なので、確認するのがベストです。
日本画の金泥が買えるお店③PUGMENT TOKYO
東西問わず顔料を多数扱うお店です!
通販での金泥の取り扱いは他より少なめですが、
純金3色、純銀、いぶし銀が揃っています。
「消」で検索する金泥をソートしやすくなります。
日本画の金泥が買えるお店④至善堂
国際的に販売している金箔商品専門店!
ショップデザインが洗練されており、
マガジンでの情報発信も行われています!
アップルペイでの購入も可能!
ただしスマホからでは若干値段の確認がしづらいので
パソコンで確認するのがおススメです。
日本画の金泥が買えるお店⑤安江豊商店
本場金沢の箔専門店!
楽天市場内のショップなので、楽天ユーザーにオススメです!
金泥だけでなくプラチナ泥や銀泥などもあります。
「諸粉」カテゴリーから一覧できますよ!
日本画の金泥が買えるお店⑥中村製箔所
こちらも金沢の金箔専門店!
安江豊商店さんと同じく
楽天市場なので、ポイントでどんどん買いましょう!
泥は送料無料で購入できます!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog3_1_question.png)
でも時価ってお寿司屋さんみたいで気後れしちゃうな。
練習用に気軽に使える金泥はないの?
安心して下さい!
科学が発達した現代では、
金泥の代わりになる画材がどんどん開発されています!
次の章では、金泥の代わりに使える日本画材を
紹介いたします。
簡単に金泥を使うには?金泥の代用になる物はこれ!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/02/IMG_0748-1024x697.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/12/写真-2022-12-13-11-30-55-e1701993103566.png)
本物の金泥の代わりに使える、日本画用の金色絵具があります!
ボールペン(シグノ)やアクリル絵具などもありますが、
今回は日本画材の中からチョイスしてみました。
チューブ日本画絵具の金色が便利!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/12/写真-2022-12-13-11-30-55-e1701993103566.png)
小作品の制作にぴったりです!
まずは吉祥のチューブ絵具!
チューブに入っているのですぐに使える優れものです。
赤金の外に、青金もあります。
お好みの色を使って下さい!
筆者は華やかな赤金が好きです。
落ち着いた金色が好きな方には青金がおススメです。
欠点は「量が少ないこと」
もし一度に沢山使いたい場合は、
こちらの丹波絵具工業のチューブが良いでしょう。
↑ちょっとメタリックな色になります。
日本画用の粉末絵具で金泥の代わりに!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/animalface_inu.png)
チューブ絵具に比べてキラキラが強くなります!
キラキラした金属光沢が強くなります。
「チューブ絵具は渋くなっちゃうな~」
という方にオススメです!
ラメ感が強いので、パール系の水彩等と一緒に
使うのもいいかもしれません。
見た目は本格派!金の顔彩から始めよう!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/01/AF670F0D-5F2E-4032-99EF-8C9CC0AEAD26.png)
皿入りの金泥にそっくりです!
金泥は粉状で販売されているものと、
皿(鉄鉢と呼ばれます)入りのものがあります。
この顔彩はまさに皿入りの金泥にそっくり!
金泥を使うには膠を入れたり炙ったり、
準備が必要ですが、顔彩なら水だけでOK!
水彩のように使用できますよ!
⇒【大幅加筆!】顔彩とは?水彩絵の具との違いと使い方を解説!
金泥以外にも、金を使った技法があります!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/06/gold-1800504_1920-1024x680.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog3_1_question.png)
金泥を知ったらほかの事も試したくなったよ。
金を使う技法はほかに何があるの?
日本画では金を使う技法が他にもあるんです!
ここでは3つのやり方をご紹介しますね。
日本画技法①金箔
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/06/640px-Wind-God-Fujin-and-Thunder-God-Raijin-by-Tawaraya-Sotatsu.png)
金泥の原材料でもあるのが金箔です!
泥に種類があるように、
箔にも銀箔やプラチナ箔があるんですよ。
屏風や襖絵の背景に使われているので、
一番親しみがある技法ではないでしょうか。
日本画技法②砂子
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/06/Heikenoukyou-edited-1024x577.jpg)
金箔を細かくしたのが砂子(すなご)です!
ただし泥のような細かい粉ではありません。
金箔を篩にかけて
サラサラとふりかけるようにして使います。
この技法を使った最も有名な作品が
厳島神社にある『平家納経』。
金銀に彩られた豪華なお経が
平家の権威を今に伝えていますね。
日本画技法③截金
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/06/1017px-Syaka-Kinkan.jpg)
截金は、「きりがね、きりかね」と読みます。
「切金」とも書き、読んで字のごとく
金箔を細かく切り、形を作り出す技法です。
仏画の衣類の模様や、後光、輪郭線など
さまざまな所で使われていました。
現代でも漆工芸や仏像に使われています。
↑スケールが違い過ぎる…!
博物館の古い仏像の中に、
部分的に金色をした衣の物を見かけたことがあるかもしれません。
その金色の部分はおそらく截金でしょう。
まとめー金泥って知ってる?日本画で使われる輝く装飾の秘密と代替アイテム!
![狩野永徳唐獅子図](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2020/12/Kano_Eitoku_002-1024x515.jpg)
最後までお読みいただきありがとうございました!
金泥は、日本画における装飾技法の一つであり、
金箔を粉末状にしたものでした。
絵画作品に光沢と豪華さを与える重要な要素として、
仏画を中心に使用されていましたね。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/05/dog2_1_idea.png)
もちろん、現代でも使われているよ!
神々しさを表すために使われていますが、
純金や純プラチナは非常に高価!
そのため、現代では様々な代用金色絵具が
販売されています!
ぜひ皆さんも金泥や金箔など、
日本画の豪華な技法に挑戦してみて下さいね!
金泥関係オススメアイテムをまとめました!
泣く子も黙る純金泥
94%もの純金で作られた
本物の金泥です!
ここぞという時にお使いください!
金泥の代わりになる日本画絵具!
雲母なので本物の金のように
キラキラになります!
練習だけでなく水彩と一緒に
使うのもオススメ!
金箔や金泥の名画を知りたい!
日本画での伝統的な技法を
これでもかと紹介!
名画の修復に興味がある方は
必見の一冊です!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2023/04/phonto-15-1024x397.png)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/02/analogillust.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/日本画のきじはこちら!.jpg)
前の記事はこちら!
⇒「ウルミ色(潤み色)」を知ってる?日本の伝統から学ぶ、鮮やかな色彩の秘密
次の記事はこちら!