8/1 新刊『日本画の絵具と色彩』発売されました!

「ウルミ色(潤み色)」を知ってる?日本の伝統から学ぶ、鮮やかな色彩の秘密

ウルミ色って何?ウルミ色の定義と由来について解説します!

和名読み方うるみいろ
カラーコード#7A3635
RGB(122, 54,53)
マンセル値5R 2/4
別名/類似色海老茶、マルーン

ウルミ色って、つまり焦茶のこと?

DARENIHO

じつは、そうとは限りません!


こんにちは、日本画家の深町聡美です。


ウルミ色はさまざまな種類がある色です。


まず「ウルミ」とは漢字で「潤み」と書きます。

さて潤んだ色とはどのような色なのでしょうか?
色の説明を調べてみるとこのように出てきます。

  • 深みのある黒みがかった色
  • 青黒い色
  • 赤黒い色
  • はっきりしない灰色
  • 紫色


いまいち正体が掴めない色で、
まさに「はっきりしない色」と言えるでしょう。


そもそも「潤む」とは「曇る、黒っぽい」という意味だそう。

そのため昔は「濁った色」や「曇った色」は
全て「潤み色」と呼ばれていたのかもしれません。



現在では大きく三つの使い方に分けられそうです。

  • 漆などの塗料系:黒っぽい赤、漆の伝統色
  • 染物系:グレー
  • 日本画系:紫色っぽい色


DARENIHO

「曇った色」にも種類があるんだね!

DARENIHO

あるいは漆工芸の「ウルミ色」から派生した色かもしれません。



この記事では漆系の黒っぽい赤
日本画系の紫色っぽい色について解説していきます。




ウルミ色の特徴は?漆の伝統色です!


DARENIHO

「ウルミ色」が最も一般的に使われているのは漆工芸でしょう。

漆工芸には「ウルミ漆」「ウルミ朱」などの漆の種類があります。


黒漆に朱や弁柄を混ぜた物を「ウルミ漆」といい、
ツヤツヤとした落ち着いた焦茶を指すのだそう。



漆においては重要な伝統色で、
襖の縁に用いられているのもこの漆だと言います。



漆は塗料ということで、現在でもペンキやラッカーでの
ウルミ色は黒っぽい赤を指すことが多いようです。


塗料のウルミ色は黒っぽい赤ことが多いんだ!



ウルミ色は化粧品にもピックアップされてる!?

Stefan SchweihoferによるPixabayからの画像


日本の伝統色であるウルミ色は、
化粧品にもピックアップされています!

株式会社エキップが展開する
化粧品ブランド「SUQQU」(スック)では

ウルミ色にインスパイアされた色を
2019年に秋冬カラーとして発売しました。


落ち着いた赤茶色はアイシャドウにピッタリですね。

日本の伝統色として意外なところに使われていたんだね!




ウルミ色の作り方テクニック!絵画表現を広げよう!

ウルミ色って絵具はないよね?
どうやってウルミ色を作ればいいの?

DARENIHO

ウルミ色は水彩や顔彩なら混色で簡単に作ることが出来ます!

ウルミ色は黒っぽい赤、あるいは紫系の色でした。

というわけで、シンプルに

  • 赤+黒
  • 赤+青

で作ることが出来ます!


上図は顔彩と水彩での作例です。


顔彩では臙脂+群青、臙脂+黒臙脂+美藍

水彩ではクリムソンレーキ+デルフトブルー、
クリムソンレーキ+アイボリブラック
を混色しました。


どれも深みのある美しいウルミ色になりましたが、
特に臙脂+群青を薄めれば、グレー系のウルミ色が作れますね!

DARENIHO

臙脂と藍色を混ぜる方法は、伝統的な混色方法のひとつです!

 日本画の職人技!ウルミ色を駆使して作り出される絶妙な色合い

DARENIHO

実は日本画にも「ウルミ色」の作り方が伝わっています!



大正時代に書かれた丹精指南という日本画の指南書。

この本には日本画でのウルミ色の使い方が説明されています。


日本画ではウルミ色は「紫色に近い暗い色」とされ、

とされています。

この絵具を紫色の代用として使っていました。


ちなみに、昔の日本画では混色せずに
鮮やかな紫を作るのは不可能でした。

➡︎日本画絵具を混色して作れる色9選【日本の伝統色】



さらに、藍汁と臙脂を混ぜたウルミ色に
胡粉という白い絵具をを混ぜて…

ウルミ具」という色(絵具)を作ることもできます。


この色は、日本の古い正装である
束帯の指貫(ズボン)を描くのに使われました。


他にも日本と中国男女の服装や、
紫色の草木や花の下地に用いていたそうです。




また、日本画家の安田洋氏によると
『秋野不矩 日本画を語る』という本では
「臙脂を塗って乾かした上に、群青をうっすら塗る」
ウルミ色が紹介されていたそうです。


日本画ではウルミ色は紫の代用色だったんだね!



まとめー「ウルミ色(潤み色)」を知ってる?日本の伝統から学ぶ、鮮やかな色彩の秘密

umehanayuukiによるPixabayからの画像


最後までお読み頂きありがとうございます!


今回は、「曇った色」という意味の色、
「ウルミ色」についての情報をお届けしました!

ウルミ色とは、黒みがかった深みのある色であり、
赤黒い色、青黒い色、灰色、紫色など様々な種類があります。

現在では

  • 漆の伝統色:黒っぽい赤
  • 染色系:グレー
  • 日本画系:紫色

3つに分けられそうでしたね。


特に漆工芸での「ウルミ漆」は、落ち着いた焦茶色であり、
襖の縁などに使われていました。


また、ウルミ色にインスパイアされた化粧品も販売されていましたね。


このように、「ウルミ色」は、日本では長い歴史を持つ、
ユニークで面白い色なのです!





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⇒緑青色ー孔雀石が生んだ美しい絵具を語る!【日本の伝統色】

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