- 12色の絵具セットだけで銀色を塗る方法
- 銀色の絵の具の作り方
こんにちは、日本画家の深町聡美です。
小学校の図工の時間を覚えていますか?
「金と銀の絵具は使わないこと!」
と注意されたことがあるかもしれません。
では銀の絵具なしで、どうやって銀色の物を
描けばいいのでしょうか?
今回はそんな疑問を、
細かく解説してみました。
この記事では
- 銀色が色ではないと言われる理由
- 銀色を12色セットの絵の具だけで塗る方法
- 銀色の絵の具を自分で作る方法
- オススメの銀色絵の具
を解説いたします!
色はとても奥が深いので
知識に関する話も多くなっています。
ぜひ、目次を使って好きなところから
呼んでくださいね。
Contents
銀色を普通の絵の具だけで作ることはできる?


学校で買った絵具セットで銀色って作れるの?
結論から言うと12色セットなどの絵具で
「銀色」を作ることはできません。




それでは金属が描けないじゃん!
でも大丈夫です。
銀色を描くための方法は
- 銀色(ラメ入り)の絵具で塗る!
- 色を塗り分けて銀色を表現する!
の二種類あるんです!
銀色(ラメ入り)の絵具は文房具店や
100均で手軽に購入できますよ。




じゃあ100均の銀色の絵具で金属が描けるんだ!
実はそれでは残念なことになってしまいます!
「銀色を上手に塗る方法」
「銀色絵具を自分で作る方法」を紹介する前に
なぜ、銀色の絵具が普通の絵具だけでは
作れないのかをお話しいたします。
※普通の絵の具とは、
学童用の12色セット等に入っている絵の具を指しています。
ラメ入り絵の具、偏光絵の具は含みません。
普通の絵の具だけで銀色を作れないのはなぜ?







なんで白と黒を混ぜても銀色の絵具にならないの?
なぜ銀色の絵の具を普通の絵の具だけで
作れないのか。
それは銀色が純粋な色ではなく、
「灰色の絵具に、偏光物質という
ラメを入れてキラキラさせているから」
です。
つまり
- 銀色は色ではない=混色だけでは作れない
- 銀色は「キラキラの素(偏光物質)」が必要
ということなのです!







でも「銀色」っていう色があるよ。
だから色なんじゃないの?
では
- 色とは何なのか
- なぜ銀色が色だと言えないのか
を今から解説いたします!
銀色は色ではない?!-絵の具だけで銀色を作れない理由









そもそも「色」って何?定義があるの?
「色とは何か?」
をとても簡単にまとめると
「色の三属性を持つもの」となります。
- 色相
- 彩度
- 明度
銀色はこの三属性を持っています。
(白や灰色は色ではない説もあります)
しかし、この三つだけでは表現できない
色なのです。
それでは結論の前にこの三属性について
詳しくお話していきましょう。
色相 ー銀色は絵の具だと何色?①


色の三属性のうち一つ目の「色相」は
赤、黄色、橙といった、色の違いの事。
上の色相環は12個の色相で出来ています。
彩度 ー銀色は絵の具だと何色?②


そして「彩度」とは色の鮮やかさの事です。
上の画像をご覧下さい。
右側が鮮やかな赤で、
左に行くほど鮮やかさは無くなり
灰色に近づいていきますね。
この、
鮮やかな色か、灰色っぽい色か(鈍い色か)
を彩度
と言うのです。
明度 ー銀色は絵の具だと何色?③


最後に「明度」です。
上の画像は彩度が無い(無彩色と言います)
白から黒のグラデーションです。
白はもちろん明るい色ですよね。
黒は暗い色です。
このように、
明るい色か暗い色かを示すのが明度
なのです。
青にも水色っぽい色もあれば
緑っぽい色もありますよね。
人によって基準が違うので
色は共有しにくいものです。
そこで、色の三属性をそれぞれ数値化して
色を共有できるシステムもあるんです。
こちらのページが分かりやすいので
興味がある方はぜひお読み下さい!
銀色を絵の具で作れないのは「色+別の要素」だから!
さて、色とは「色の三属性」を持っているもの。
でしたね。
そしてwikipediaの銀色のページには
このように書かれています。
色としては白や灰色だが、金属光沢、つまり、強い指向性を持つことで銀色となる。ただし、完全な指向性を持てばそれは鏡面となる。
引用:wikipedia-銀
色だけの性質ではないので、色空間や表色系だけで完全に表すことはできない~
つまり、
- 灰色や白までは「色」と言える。
(色に含まないという説もある) - しかし銀色はそれに金属光沢の要素が加わったものである。
と言えるのです。
銀色の「色」は白や灰色であり、
金属光沢や絵の具のキラキラは
また別の要素とされるのです。
これが
- 銀色は普通の絵の具だけでは作れない
- なぜなら色ではないから
の意味です。
金属光沢は普通の絵の具では作れません。
混色しただけでは銀色にならないのです。


銀色のものを描くときはどうすればいいの!?
その答えを次の章からお話しします。
金属色、構造色、蛍光色は「特殊な色」として分類されています。
気になる方はぜひご覧下さい。
wikipedia ー色の分類について
銀色を普通の絵の具だけで作るには?


丁寧に書きこむことで金属らしい光沢が作れる
©DARENIHO
銀色を普通の絵の具だけで作る時は
以下の点に気を付けて黒、白、灰色などで
描いてみましょう。
- 実物ではなく写真を見て描く
(メリハリが付けやすくなる) - 黒に少し青を混ぜて深みを出す
- 明るい部分と暗い部分のメリハリをつける
- 映り込みの色を薄く塗る
実際に水彩で銀の指輪を描いてみました。


- 白い部分以外を灰色に塗る
- 一番暗い部分を塗る
- さらに細かい影や映り込みを塗る
- 移り込みの茶色を重ねる
実際の銀は白と黒だけでは描けません。
周りの景色の映り込みによって
赤みや青みがあります。
それを丁寧に描くことでよりリアルな
銀色の表現ができますよ。
また、ハイライトの部分もしっかり白く
すると良いですね。
上の画像では白ボールペンを使っていますが
上手く塗れていません。
アクリルガッシュやポスターカラーで
白をハッキリ入れるか、
紙の白を残す方が良かったです。
また、一番暗い部分を塗る時も
少し青や赤みを足しておくとリアルになります。
普通の絵具で銀色を描くときは
「銀色の金属の反射を絵具で表現」
することになるのです。







いちいち塗り分けてたら時間がかかるよ!
銀色の絵具で塗ったら楽じゃないの?
そこで、銀色の絵具だけで塗ってみたのが
こちらです。


確かに「銀色」にはなりますが、
銀色の部分だけ背景から浮いてしまいます。
光の反射具合も普通の絵具で描いた方が
リアルに見えますよね。
以上のことから銀色の物を描く時には、
「銀の絵の具を使わないで
普通の絵の具だけで光沢を表現する。」
これだけで自然な銀色を表現できますよ。
- 銀色を絵具で塗る時は白黒灰色だけでなく、映り込みの色も入れよう!
- 明暗差を強くすると金属のような光沢になる!
パソコンやデジタルで銀色を作るには?









デジタルイラストで銀色を描くときはどうすればいいの?
デジタルイラストで
銀色を表現する際も、絵具の時と同じです。
- 色みのある黒を使う
- 明るい部分と暗い部分のメリハリをつける
- 映り込みの色を意識して使う
下の画像を見て下さい。


この画像は写真を色分けしたものですが
銀色に見えますよね?
パソコンの画面は金属ではありません。
モニター画面の光だけで「銀色と感じさせる色」
を表示しているのです。
そして、金属を描くときのコツは
明暗のグラデーション。
そこで
お絵かきアプリのグラデーション機能を
使ってみましょう!


また、デジタル環境では画像加工も簡単です。
ポスタリゼーション機能で色分けをして、
色を分析するのも良いでしょう。
アナログ絵の場合も色分けをした写真を
見ながら描くと簡単に描けます。
- デジタル絵でも、考え方は同じ!
- グラデーションや色分け機能を駆使しよう!
ラメを使って銀色絵の具を作ろう!


灰色の絵の具に金属粉やラメを加えれば
銀色の絵の具は作れる!
最初に銀色の絵の具は普通の絵の具だけでは
作れないとお話ししました。
しかし、
ラメや金属粉を使えば
誰でも作ることができてしまいます!
作り方はとても簡単。
灰色系の絵具にラメを入れるだけ!
今回は明るいグレーの水彩絵具に
パールアフレアという偏光素材を入れて
試作しました。


化粧品や絵具として売っている
「雲母」(うんも)を使っても大丈夫です。
たっぷりのパールアフレアに
少量の灰色絵具を混ぜます。


元々白色のラメだったこともあり
かなり銀色っぽい感じになりました。
ですが白を混ぜているため、不透明です。
下の色が透けません。
また、絵具がラメを覆うので
販売されている銀色絵具よりも
キラキラ感は少ないですね。
実は、この銀色絵具は
ラメ等の金属光沢がある粉だったら
なんでも作れてしまいます!
ぜひ皆さんもいろいろなラメを試して
ベストオブ手作り銀色絵具を
作ってみて下さいね!
- 銀色の絵具は灰色の絵具にラメや金属粉を加えて作ろう!
おすすめの銀色の絵の具は?






せっかくなら銀色の絵具を買いに行こうかな。
そんな方のために、オススメの銀色絵の具を
ご紹介いたします!
水彩絵の具の銀色
学童向け―水彩絵の具の銀色
小学校で使う水彩絵の具の銀色です。
安価で文房具店でも販売されていますので
お手に取りやすい絵具です。
もしお子様の絵具を100均で購入する際は
「アクリル」と書かれていない商品を
選んでくださいね。
アクリル絵具と水彩絵具は種類が違います。
混ぜて使うと残念なことになるかも…?
そして100均と言えば、
ネイル用の水彩パレットにも
銀色(白ラメ)があります。
こだわりさん向け―水彩絵の具の銀色②
ホルベインから販売されている水彩シリーズ。
黒い紙の上でも鮮やかに発色する
パールカラーが大人気です。
金や銀にも、赤や青、緑と
色数が非常に多いのでラメ好きさんは
要チェック!
【⇩関連リンク⇩】
ドイツ発・ギラギラした発色の「やばい粉」(固形水彩絵の具)が話題に!紙に乗せるとめっちゃ綺麗に光るので、絵描きさんはぜひ/togetter
アクリルガッシュの銀色絵の具
油絵の代わりとして用いられる事もある
耐水性の絵具です。
まとめー銀色の絵の具の作り方


最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事では
- 普通の絵具で銀色を描く方法
- 銀色の絵具を作る方法
の二つを解説してきました。
ぜひ今回のやり方でリアルな銀色を
塗ってみて下さいね!
そして自分だけの銀色絵具づくりも
楽しんでみて下さい!
銀色とは?灰色とは?
奥深い色のお話参考サイト
前の記事はこちら!
メルカリでデジタルイラストを売るには? 発送方法のおススメはこれ!
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⇒日本画を簡単に描くにはアクリル絵具と併用すべし!?【初心者必見】



