こんにちは、日本画家の深町聡美です。
ポスターカラーとアクリルガッシュ。
どちらも不透明な絵の具です。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/animalface_inu.png)
どっちも同じような物でしょ?
混ぜて使っちゃえ!
・・・・・・ですがポスターカラーとアクリルガッシュは
全く別の絵の具なのです!
もし間違えて混ぜて使ったりしたら、
大変なことに・・・・・・!?
今回は、ポスターカラーとアクリルガッシュの
違いについて解説いたします!
アクリルガッシュとアクリル絵の具の違いはこちら!
➡アクリルガッシュとアクリル絵の具の違いはコレだけ!【画材】
Contents
ポスターカラーとアクリルガッシュの違いが分からないとこんなことに!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/35C1FC7A-2B61-4DD1-8969-9F1935B7E88E-1024x547.jpeg)
最初に言います。
ポスターカラーとアクリルガッシュの違いが
分からないと
うまく進められない
または
全て描き直し
ということもありえます。
どういうことか実際に見ていきましょう。
アクリルガッシュとポスターカラーの違いが分からない!間違えて混ぜて使うと?
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/463AB3B9-948A-4429-A7D0-B08C856CA891-1024x689.jpeg)
ポスターカラーのビリジアン(サクラ)と
アクリルガッシュの
パーマネントグリーンミドル(ターナー)を
比べてみます。
それぞれをアクリルガッシュの下地を塗った
キャンバスの上に乗せました。
よく乾いたら、白いアクリルガッシュを重ねます。
すると・・・・・・
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/5DD7C8EB-E172-4FA9-9682-2D47D71C24E7-1024x654.jpeg)
ポスターカラーは重ねた白が緑色に
なってしまっていますね!
一方でアクリルガッシュの方は
きれいな白のままです。
このように、アクリルガッシュと
ポスターカラーの違いが分からないまま、
混ぜて使ってしまうと
上から重ねることができなくなってしまうのです!
ポスターカラーの上に絵の具を重ねると色が濁る!
アクリルガッシュの上に絵の具を重ねても濁らない!
ポスターカラーとアクリルガッシュを混色してもいいの?
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2020/11/PAK35_enogutoparetohude_TP_V-1024x682.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/animalface_inu.png)
でもアクリルガッシュは濁ってないよね?じゃあポスターカラーとアクリルガッシュの混色は大丈夫では?
というご質問を頂いたので、
こちらも実験してみました。
ポスターカラー:アクリルガッシュ=1:1
で混色!
すると・・・・・・
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/35D56856-76C5-496E-969C-ACCD8B86E10B-1024x664.jpeg)
ポスターカラーほどではありませんが
白いアクリルガッシュが緑色に!
ポスターカラーとアクリルガッシュは、
混色して使えないことが分かりました。
ポスターカラーとアクリルガッシュを混色しても
塗り重ねられない!
ポスターカラーとアクリルガッシュの違いは丈夫さにも・・・・・・?
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/605916A2-85E7-4861-85FF-2B455393D428-1024x683.jpeg)
ポスターカラーとアクリルガッシュは、
丈夫さにも違いがあります。
先程の実験の後、
ポスターカラーon白
アクリルガッシュon白
ポスターカラー+アクリルガッシュon白
このそれぞれを水を付けた筆で擦り、
さらに布で拭いてみました。
その結果は……
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/26E3DD71-D331-4451-B357-3BB389AE0926-1024x734.jpeg)
なんとも無惨・・・・・・。
ポスターカラーon白は
ポスターカラーのビリジアンごと
上に塗ったアクリルガッシュの白も
剥がれ落ちています。
布で拭く前から、すでにポスターカラーごと
はがれていました。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/71C1983A-658E-4BD2-9B92-5567392E7438-1024x396.jpeg)
アクリルガッシュ+ポスターカラーは
かろうじてアクリルガッシュの
パーマネントグリーンが残っています。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/B39D912A-0B90-4361-A9CC-EDCF97BAD962-1024x766.jpeg)
一番丈夫なのはアクリルガッシュon白。
白は取れてしまいましたが、
下地の緑に大きな被害はありません。
布でゴシゴシ擦ってもこの程度のダメージです。
ポスターカラーとアクリルガッシュの違いがわからず
アクリルガッシュのつもりで重ね続けると
色が溶け出し続けて重ねられなかったり
最悪、全て剥がれ落ちてしまうということも
あり得るのです!
ポスターカラーとアクリルガッシュを混ぜると
・絵の具を重ねられない!
・絵の具が剥がれ落ちるかも!
なぜポスターカラーとアクリルガッシュはここまで違うの?
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2020/12/question-mark-3255140_1920-1-1024x576.jpg)
ポスターカラーとアクリルガッシュは
同じように不透明でマットな使い心地です。
ですが、なぜここまで違いが出てしまうのでしょうか?
それは、絵の具の材料の違いによります。
ポスターカラーとアクリルガッシュの違いは展色材!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2020/12/paint-boxes-2786572_1920-1024x722.jpg)
全ての絵の具は大きく分けて
二つの材料でできています。
一つ目の材料は「顔料」
これは、絵の具の色の素になる
色がついた粉末です。
「昔の青い絵の具は、宝石のラピスラズリから
出来ている」
という話を聞いたことがあるかもしれませんね。
↑現在でも日本画に使う天然岩絵具は、アズライトという宝石が使われています。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_0258-1024x650.jpg)
もう一つは顔料を紙に定着させるための糊、
「展色材」です。
油絵の具はポピーオイルなどの乾性油。
水彩絵の具はアラビアゴムが展色材です。
水彩と油絵って、全然違いますよね!
ポスターカラーとアクリルガッシュも
展色材が違う。
つまり全く別の絵の具なのです!
ポスターカラーの展色材は水彩と同じ!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/01/IMG_5248.jpg)
ポスターカラーの展色材はアラビアガム。
アクリルガッシュの展色材はアクリルエマルジョン。
このようにポスターカラーとアクリルガッシュは
展色材が全く違います。
これは先程書いたように、
油絵と水彩画くらい違うと言っても
過言ではありません。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/アイキャッチ_20220120211735.jpg)
よく似たポスターカラーとアクリルガッシュですが、
ポスターカラーが近いのは水彩絵の具です。
展色材はポスターカラーも水彩絵の具も
アラビアゴム。
なのでポスターカラーも乾いた後は
水で薄められます。
耐水性ではないということで、
乾いても絵の具を重ねると混ざってしまったのです。
ポスターカラーは水彩絵の具の仲間!
だから耐水性は低い!
アクリルガッシュの展色材は耐水性がある!
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/droplets-g8a7a91aab_1280-1024x682.jpg)
一方でアクリルガッシュの展色材は
アクリルエマルジョンです。
このアクリルエマルジョンとは
アクリル樹脂の分子が水中に漂った状態の液体です。
塗った後に水分が蒸発すると
アクリル樹脂の分子同士が結合して顔料を覆いながら
耐水性になるのです。
絵をアクリル板でカバーすると水を弾きますよね。
それと同じです。
だから乾いてから白い絵の具を重ねても
色が混ざらず、水で擦っても平気だったのです。
ポスターカラーとアクリルガッシュの違いまとめ
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/35C1FC7A-2B61-4DD1-8969-9F1935B7E88E-1024x547.jpeg)
- ポスターカラーは水彩絵の具の仲間なので
水に弱い。 - アクリルガッシュは乾くと耐水性になる。
ポスターカラーとアクリルガッシュは
全く異なる種類の絵の具なので
混ぜたり混色して使うことはできないのです。
使い心地が似ていたりパッケージも似ている
ポスターカラーとアクリルガッシュ。
絵の具の違いを覚えて、使い分けてみてくださいね!
今回使ったポスターカラーとアクリルガッシュはこちらになります
中学校や高校で使った方も多いはず!
ターナー製のアクリルガッシュは
カバー力(隠ぺい力)が高いと言われています。
文房具店や大型スーパーでも取り扱いがあるので
手に入れやすいアクリルガッシュです。
クレパスやマット水彩、小学生の時に
使いませんでしたか?
それを販売しているのがサクラクレパスです。
耐水性がないポスターカラーですが
以前はポスター作成のためにプロが使用していました。
見た目に注意!混ざりやすいアクリルガッシュとポスターカラー!
ターナーのアクリルガッシュと
ポスターカラーは見た目が非常に似ているので
年に一回は必ず注意喚起を
するようにしています。
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![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/日本画のきじはこちら!.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/tannseisinan.jpg)
ポスターカラーとアクリルガッシュの違いと、混ぜて使って大丈夫かが分かる!