
ドーサ液はちゃんと引いてる?
日本画で使う和紙や絵絹は吸水性があるため
絵を描き始める前に、にじみ止めを塗る必要が
あります。
このにじみ止めを、日本画では
「ドーサ液」と呼びます。
ドーサ液を塗っていない生の紙に
絵具を塗ってしまうと、
墨がにじんだり、岩絵具がポロポロと
はがれ落ちてしまう危険があります。
今回は、この日本画版にじみ止めである
「ドーサ液」の作り方を、
簡潔にご紹介致します!
伝統的なドーサ液の作り方は、こちらでご紹介!
➡【日本画】狩野派のドーサ液の作り方とは?効果はあるの?【丹青指南現代語訳】
狩野派は、ドーサの塗り方にもこだわります。
➡【日本画】狩野派流!ドーサ液の引き方を解説!【丹青指南現代語訳】
Contents
ドーサ液を作る時に必要な物


まず初めに、ドーサ液作りに最も適した季節は
冬だとされています。
作家によっては冬にまとめて一年分のドーサ引きを
終わらせるそうですが、今回は割愛しましょう。
今回は、分かりやすくするために
三千本膠一本を基準にします。
- 膠(三千本一本/粒12~15g)
- 計量カップ
- 水
- ミョウバン
- 適当な小瓶
- 大さじ
- ボウル
ドーサ液の作り方
①膠水を作る


三千本膠一本(粒膠12~15g)を200ccの水で溶かし、
膠水を作る。
溶かす方法は
- 電熱器に膠鍋
- チョコレーター
- 電子レンジ
など、どの方法でもOKです!
筆者はチョコレーターで湯煎しています。
膠の溶かし方はこちらの記事で!
➡【日本画】膠(にかわ)とは?作り方と使い方&種類を徹底解説【画材】
②水を足す


膠水をボウルに移し、
膠水:水=1:2
になるように水を足します。
今回は膠水が200ccなので、
400ccの水を足します。
比例が覚えにくいときは
「三倍に薄める」
と覚えておくのがオススメです!
③ミョウバンの飽和水を作る


ミョウバンを水に入れて湯煎し、
飽和水を作ります。
飽和水とは、
「ミョウバンが溶けきれなくなった水」のこと。
溶け残りが出るまでミョウバンを加えます。
適当な小瓶があれば
ミョウバンを入れるのに便利ですが、
無い場合は使わないマグカップなどでも
大丈夫です!
④膠水にミョウバン飽和水を加える


膠水にミョウバンの飽和水を
大さじ1~2杯、加えます。
そして、刷毛や匙などで、
よく混ぜましょう。
⑤ドーサ液が出来たか確かめる


よく混ぜると、膠水の匂いに変化が現れます。
「濡れた動物の香り」
と形容されるような、特徴的な香りがします。
また、味にも変化があり、
「舌にまとわりつくような味」
(ミョウバンっぽい味)
がします。
これらの香りや味の変化があれば
ドーサ液の完成です!
色や刷毛の通りで判断する方法もありますが、
個人的には香りが一番分かりやすいですね!
ドーサ液の引き方(塗り方)
①紙を広げる


よく拭いた机や、清潔な毛布の上に
和紙を乗せます。
②ドーサ刷毛で塗る


刷毛(ドーサ刷毛)で、和紙に塗っていきます。
以下の四点に注意して塗っていくのがコツです!
- 刷毛にたっぷり取って塗る
- 水溜まりができないようにする
- 塗れた状態で重ね塗りしない
- 一方向に塗る
最初は難しいかもしれませんが、
「紙を傷めないようにしよう!」
と意識すると覚えやすいですよ!
③裏面に塗る


雲肌麻紙のように厚い紙は
紙を裏返して反対側からも塗りましょう!
より、しっかりとにじみ止めの効果が
現れます!
塗ったドーサは三日くらいで安定します。
④胡粉や水干絵具を塗って中和する


最後に
アルカリ性である胡粉や水干絵具を塗って、
ドーサによって酸性になった紙を
中和します。
胡粉の作り方はこちらの記事で解説しています
➡【日本画】胡粉の作り方とは?塗り方、使い方を解説!【丹青指南現代語訳】
ドーサを作る時、塗る時はここに注意!


- ドーサ液作り準備段階の注意点
湿度が高いとシミが出来てしまいます!
できるだけ湿度が低い冬の間に行いましょう。
また、ドーサは乾く時に
時間がかかり過ぎてはいけません!
なので基本的には晴れた日に行うのがベストです。
雨の日にドーサ引きをする時は、
ドライヤーを使う、
電気カーペットの上で塗るなど
早く乾かす工夫をするといいですね!
- ドーサ液を塗る時の注意点
ドーサ液は冷ましてから引き始めましょう!
特に少量のドーサ液を作る際、
膠水を溶かしてすぐの熱い状態で塗ると
膠で紙がテカテカになる可能性があります!


また、ドーサは酸性なので
塗り重ねると紙を傷めます。
なので、できるだけ薄く。
なおかつ、一層で紙に浸透するように。
しかし、溜まりが出来ない程度に。
注意深く塗る必要があります。
もちろん、
塗れた状態での重ね塗りもNG!
塗れた紙は傷みやすいのです。
- ドーサの効果が薄いときは?
とは言え、
ドーサの効果が薄かったときは
重ね塗りするしかありません。
十分に乾いた状態で重ね塗りをしましょう。


- 最後に必ず胡粉を塗ろう!
ドーサ(酸性)の上から
胡粉や水干絵具(アルカリ性)を塗って
紙を中和しましょう!
これによって絵が長持ちします。
まとめ―日本画のドーサ液の引き方、作り方
ドーサ液の作り方をまとめると、
このようになります!
- 薄い膠液を作る
- ミョウバンを加える
- ドーサ液の出来上がりを確認する
- 刷毛で塗る
- 胡粉を塗って中和する
また、塗る時には注意点もありましたね!
- 刷毛にたっぷり取って塗る
- 水溜まりができないようにする
- 塗れた状態で重ね塗りしない
- 一方向に塗る
ドーサ液の作り方は作家や流派によって
千差万別!
他にも様々な作り方がありますので、
色々な作り方を試して自分に合った
ドーサ液作りをマスターしてみてください!
狩野派のドーサ液の作り方はこちらで解説!
➡【日本画】狩野派のドーサ液の作り方とは?効果はあるの?【丹青指南現代語訳】
➡【日本画】狩野派流!ドーサ液の引き方を解説!【丹青指南現代語訳】
ドーサ液の作り方動画
ドーサ液作りに便利なグッズ&ミョウバンの一例
⇧沸騰しない温度で膠を湯煎してくれます。
保温機能があるので、冬の制作でも
膠が固まりません!
⇧このようにAmazonや楽天でも売っていますが、
こんなに大量に買わなくていいです。
(この商品しか見つからなかったので
掲載しています。)
画材屋さんで、50gも買えば、数年は使えます。
前の記事はこちら!
次の記事はこちら!
【日本画】ドーサ液にミョウバンを入れる理由は?科学的な根拠から紹介!




岩絵具がボロボロ取れて描きにくいよ!