8/1 新刊『日本画の絵具と色彩』発売されました!

【日本画】胡粉の作り方とは?塗り方、使い方を解説!【丹青指南現代語訳】

できるようになる事

・胡粉を溶かして使えるようになる!
・胡粉の種類が分かって使い分けられる!


こんにちは、日本画家の深町聡美です。


「日本画といったら胡粉!」
と美術の授業や日本画体験会でも
使われることが多い胡粉。


日本画の体験会などに行ったことが
ある方は、胡粉を使ってみたことが
あるかもしれませんね。



しかし、胡粉を使うのは

日本画のテクニックでも
トップクラスに難しい技術なんです!


ある所では胡粉をマスターするのに
十年かかると言われたり、

狩野派では、胡粉の使い方は
門外不出の秘法とされたり……

まるで伝統芸能のようですね!




でも、

今はネットで先人の情報が
手に入る時代です。

独学で胡粉の使い方をマスターし
最高の日本画を描く事だってできるのです。





今回はそんな日本画を頑張るあなたのために

筆者が普段行っている胡粉の溶き方と
狩野派の日本画技術書「丹青指南」に載っている
方法。


2つセットにイラストを付けて解説します!





それでは、まず
「胡粉ってよめない……
何て読むの?」
を解決する所からスタートです!




「読めるよ!」という方は、
下の目次から読みたい所へスキップしましょう!





※この記事にはアマゾンや楽天へのリンクがあります。
これはアフィリエイトと言って、
クリックして購入すると購入価格はそのままで
1%くらいの紹介料が筆者に入ります。

しかし写真の分かりやすさ重視で選んでいるので
値段や種類は適当です。

なので、筆者に紹介料を入れたくない方、
購入を検討されている方は、ご自身で
検索してから購入する事をおすすめします。

日本画で使う胡粉の読み方と見た目とは?


胡粉、胡粉と書いてきましたが、
この漢字を読める方は意外と少ないのでは
ないでしょうか?

読めたあなたは、かなり勉強熱心ですね!




「胡粉」とは「ごふん」と読みます。

「こふん」と呼ぶこともありますが
多くの場合「ごふん」と読まれます。


胡麻(ごま)の胡(ご)と同じ読みと
覚えると間違えません。



この胡粉というのは、簡単に言うと
「白い絵具」です。


アクリルガッシュや油絵具など
チューブ絵具の白のようなポジションだと
考えて下さい。


ただ、チューブ絵具のように、
押し出すとベタベタの絵具が出てくるのでは
ありません。


日本画の絵具は多くの場合、
色の素になる粉末顔料と、
顔料を紙に貼り付ける糊(展色材)が
分かれていて、

色の素になる「粉」を糊である「膠(にかわ)」
と混ぜなくてはいけません。


なので、もっと簡単に胡粉を説明すると
「チョークみたいな白い粉」になります。


そう、まさにチョークみたいな白い粉なのです。

胡粉の原料はカキの貝殻です。
風化してカサカサにして砕いた物で出来ています。


カキの殻をゴシゴシこすると白いのが出てきたり、
コンクリートや岩で割ってみると、白い跡が
残ったりしますよね。
あのイメージです。


胡粉を全く見た事がなくても、

  • チョーク
  • 卵の殻
  • 貝の殻
  • カルシウムのサプリメント

のような感じの粉と言われれば、
なんとなく雰囲気が分かるのでは
ないでしょうか?

まとめ

・胡粉は「ごふん」と読む!
・チョークの粉のような見た目をしている!

日本画で使う胡粉の原料とは?

意外にも身近に使われている胡粉でしたが
その反面、原材料は大変な貴重品!

なんと絶滅危惧種イタボガキの貝殻なのです。

とは言え、1980年代まではどこにでもいる貝
だったものが、地球温暖化の影響で数を
減らしてしまったという悲しい話です。




このイタボガキの貝殻を、10年以上風化させ
砕いて精製することで、胡粉は出来上がります。

ただでさえ貴重なイタボガキですが、
さらに上下の「ふた」の割合で値段も大きく
変わります!

上ぶたが多いと明度高く、純白の絵具になるので
高級品となっています。




さて、イタボガキが貴重になったから
胡粉も超レアになるのでは!?
と言う懸念もありますが、
現在ではハマグリやホタテの貝殻
使うこともあるようです。



記事の最初の方で述べたチョークは
卵のからやホタテの貝殻などで
出来ていますので、本当に似たような仲間と
言っても過言ではありませんね!

というわけで、
胡粉の主な原料は炭酸カルシウム(CaCO3)
となっております!

まとめ

・胡粉の原料は炭酸カルシウム!
・材料としてイタボガキやホタテの貝殻が使われている!

日本画で使う胡粉の、名前の由来とは?


しかし「胡粉」とは変な名前ですよね。
筆者も日本画を始めてから知った言葉です。

「「白」とか「貝白」とか、わかりやすい
名前の方がいい!」

と、思いませんか?


ですがこの胡粉という名前、むかしは
現代の胡粉とは意味が違ったのです!

ここでは、その紆余曲折のミステリーを
ご紹介します!




奈良時代から鎌倉時代(※平安後期とも)までは
胡の国(ペルシャ)から伝来した
人工顔料「鉛白(えんぱく)」が
胡粉と呼ばれていました。



「胡から来た粉」という意味の
胡粉ですが、実は胡瓜(きゅうり)や
胡麻(ごま)もペルシャのシルクロードから
来たのだそうです。

意外にも同郷だったのですね。



こうして、ペルシャから奈良時代に
伝来して以来、数百年間も
白い絵の具として使われてきた鉛白ですが、

高価なのにも拘わらず経年で黒く変色し、
おまけに人体に有害という欠点がありました。



そのため、室町時代には現代同様に、
貝殻を使った白い絵の具が主流となり、
こちらが胡粉と呼ばれるようになったのです。




※ところで2004年の調査で、
天平時代のお面に、貝殻で作った胡粉が
使われていたことがわかっています。

まとめ

・胡粉とは「ペルシャから伝来した粉」と言う意味!
・元は鉛白のことを胡粉と読んでいた!

日本画で使う胡粉の種類とは?

初めに用意したいのが、この胡粉!

通常、胡粉と言ったらこのような
箱に入った白い粉末状の胡粉を
指します。



最もニュートラルな胡粉で、様々な
メーカーが製造販売していますが、


今回は胡粉ネイルなどでも有名な

「上羽絵惣」の「白狐印の胡粉」
を中心にご紹介します!



白狐印の胡粉は、
良いイタボガキが入手しにくくなったため
北海道産のホタテを原料にしています。


飛切>白鳳>寿>白雪>白花>雪印

のランクに分かれて販売されており、


飛切が最も高価で、際立った白色を描く事が
できます。


最も白の発色が良いという事ですね。


また、粒子が細かいのでほとんど空擦りを
する必要がありません。


※空擦り=乳棒と乳鉢で細かく粉砕する作業。





ただし、飛切や白鳳などのハイグレード品は
なかなかのお値段がしますので、

学生さんや始めたての方は寿や白雪でも
大丈夫ですよ!


ちなみに筆者がよく購入しているのは寿です。



上羽絵惣のホームページ

他にはナカガワ胡粉もおすすめです!
こちらは、瀬戸内産のイタボガキを
使用しています。

盛上胡粉

引いた線や、絵の表面を盛り上げたい時
使う胡粉です。


表面がこんもりと浮き出るような
見た目
にすることができます。

伝統的には、屏風に描かれた花びらなどに
よく使われていますね。


盛り上げとは、上述の通り、
表面を浮き立たせる技法ですが、
通常は普通の胡粉を使う事はありません。

普通の胡粉は粒子が均一な分、
白く滑らかな見た目になりますが、
重ねたり盛り上げたりすると、
すぐに剥離してしまいます。


しかし粒子がふぞろいな盛上胡粉は
剥落しにくいのです。


「腐れ胡粉」という、さらに堅牢な
胡粉に進化させることもできます!

花胡粉 

下塗り・盛り上げに使われる胡粉です。


イタボガキの下殻を多く使った胡粉なので
純白ではありません。

真っ白な色にしたい時には不向きですが、
一番の魅力は「剥落しにくさ」です!

このため、絵や日本人形の顔の下塗り
使われています。

他にも画面の盛り上げに使われています。

腐れ胡粉 

腐り胡粉ともいいます。

膠と練り上げた胡粉を、水中で放置して
膠を腐らせた胡粉です。

水を抜いて乾燥させ、砕き、再度膠を入れて
胡粉のように使うと、


なんと盛上胡粉とは異なる盛り上がり方
するのです!!




盛上胡粉は、表面が厚くなっても
中心部分だけ凹んでしまうのですが、

腐れ胡粉は盛上げさせても
真ん中が凹まず、さらに剥落しにくい
特色があります。


花胡粉や盛上胡粉同様に、
安土桃山時代の花の描写に
よく使われています。



腐れ胡粉にさらに丹(赤い絵の具)などを
加えると、また違った盛り上がり方になる
そうです!不思議な胡粉ですね!

チューブ胡粉

本物の胡粉を膠で溶かしてチューブに入れた、
とても簡単に使える胡粉です!

空擦りや百叩きなどの面倒な手順が一切不要!

本当にチューブから出して水で薄めて使うだけ
非常に便利な胡粉です。




それでいてアクリルガッシュの白のような
「強い」感じではなく、胡粉独特の「柔らか」な
色合いになるのが素敵ですね。




初めて日本画に挑戦したい方には、
ぜひ顔彩や水干絵具と一緒に揃えて
頂きたい一品です。

胡粉ジェッソ

「胡粉!?いいえ胡粉ジェッソです!」

そんな声が聞こえてきそうな商品です。


この品物は、今まで紹介してきた胡粉と違います。
アクリル画用の下地剤「ジェッソ」なのです!



通常、ジェッソには粒子などは入っておらず
物質感を出す時には砂などを混ぜていました。


ですが、胡粉。つまり貝殻が入ることで
ツブツブした質感を作る事ができるという
商品となっています。




胡粉ジェッソはあえて荒い質感を出していますが
本当の胡粉はきちんと擦り潰して、

細かくしてから使って下さいね!


日本画で使われる胡粉の溶き方・作り方【本題】

さて、ようやく本題です!

いったい、つぶつぶ粉末の胡粉を
どうやって絵具として使えるようにするのか!?



膠でテキトーに混ぜてはいけませんよ!



今回は、筆者が普段行っている胡粉の溶き方と
狩野派の日本画技術書「丹青指南」に載っている
方法を、イラスト付きで解説します!

必要な物

・胡粉
・乳棒と乳鉢
・膠(150cc/一本)か市販の膠水
・水
・大きめの絵皿
・さじ

①乳棒と乳鉢で擦りつぶす!

まず、胡粉を乳鉢に入れて、
乳棒で擦り潰します。


本によっては一時間擦るそうですが、
筆者は10分程度にしています。


「飛切」などの上級な胡粉を使う場合は
擦る必要はありません。

しかし「寿」程度でしたら大きな塊も
残っていますし、粒の大きさもまばらです。

丁寧に擦っていきましょう。



細かくなれば良いようで、知人の中には
ジューサーミキサーで30秒という人も

いました。

②膠を少量ずつ加えて団子状にする!

小さい乳鉢は胡粉がはみ出し、

大きい乳鉢は重すぎる……


というわけで
大きめの絵皿に擦った胡粉を移しましょう。




その後、一滴ずつ膠を入れて、胡粉を団子状に
丸めます。

周りの粉も集めて固体にします。



ここが最も難しいポイントです。


なぜなら、多くの場合、
胡粉に膠を入れ過ぎて、液状にしてしまうから!


ほど良い膠の量にしないと、団子状。
というか固体にはなりません。


なので一滴ずつ入れて、こねて
を繰り返す方法を、個人的には推奨しています。




液状になったときは、胡粉を足せば大丈夫です!


固体になるまで頑張りましょう!

胡粉団子がひびわれてきたら?

手でこねる時間が長くなりすぎると
体温で胡粉が乾いてひび割れてきます。

そうなったら、今度は水を一滴入れましょう。


膠を足して、胡粉を足して、
水を足してを繰り返し繰り返し……

胡粉団子が耳たぶ程度の柔らかさになったら
完成です!!



(慣れたらすぐにできるようになりますよ!)

③ツヤがでるまで叩く!

絵皿に向けて、胡粉団子を叩きつけます。

胡粉団子の表面にツヤが出て光始めるまで
繰り返しましょう!


具体的には数十回~百回
見た目は下の団子のようにつややかになれば

OKです。




この工程を「百叩き」「石打ち」と呼びます。

百叩きをすることで膠が胡粉全体に行きわたり、
表面に膠分のツヤが出来るというわけです。


これを疎かにすると、
剥離しやすい胡粉になってしまいますので
注意しましょう!!






他にも
「乳棒で上から何度も叩く」
と言う方法もあります。
こちらはあの葛飾北斎のやり方です。

筆者はこちらの方法をしていますが、
問題なくツヤが出てきます。



④ひも状にして絵皿に置く

胡粉を手で、ひも状に伸ばします。

途中で切れてしまったら、
十分に胡粉が行き届いていないということ。

しかし、前段階でしっかりと叩いておけば
切れることはないでしょう。




伸ばした胡粉は絵皿にとぐろのように
巻いておきます。


⑤絵皿にお湯を入れてアク抜きをする

最後に、50~60℃のお湯を絵皿に注ぎ
アクを抜きましょう。


お湯の温度は 「触ってみて熱く感じるか」を基準にします。

普通に触れれば低すぎですし、
触れなければ高すぎです。



この状態で10分ほど放置して
本当に胡粉の完成!!






普通の絵具と違い、手間がかかりますね!

しかし、美しく、はがれにくい胡粉を
作るには、この手間がとても大切!!


というのも、胡粉はもともと膠とは
きれいに混ざりにくいのです。

なので全体に膠を浸透させる作業が
ないと、すぐに剥がれ落ちてしまうのです。



胡粉を使う方法・保存する方法

保存するときは、このままラップをかけて
冷蔵庫に入れます。



使うときは、必要な分だけ匙で切り取り
別の絵皿に移します。



移した胡粉に少しずつ水を入れながら
中指で溶かし、好みの濃度にしていきましょう。






これで胡粉の作り方はパーフェクトですね!

しかしイラストでは分かりにくい所も
多かったはずです。


それでは最後に日本画材メーカーの
「吉祥」さんによる、
胡粉の溶かし方の動画をご覧下さい!

狩野派の日本画解説本『丹青指南』での胡粉の溶き方・作り方を現代語訳

狩野永徳唐獅子図

現代の胡粉の作り方が分かったところで
最後に狩野派の胡粉の作り方を
見てみましょう!


今と変わらない所もあれば、
全然違うこともあります。


ぜひ狩野派の門外不出の秘伝を
あなたもマスターしてみて下さい!





※もちろん、以下の訳文は
筆者が趣味で訳したものです。
なので内容の正誤についはご自身で
お確かめくださいね!

原文は以下のサイトで読めます!



国立国会図書館デジタルコレクション

粉えのぐの種類と溶かし方について 13種

この粉絵の具の中では3種類の胡粉の溶かし方と、
使用方法が異なり粉絵の具ではありませんが、
臙脂と藤黄の2種類も加えて解説します。

胡粉の溶かし方(この原料は貝灰です)


狩野家でもともと用いていた胡粉は、
水干胡粉または板流し胡粉
呼ばれているもので、
どちらを用いても構いません。



胡粉を乳鉢または他の鉢に入れて、
擦棒で丁寧に擦って粉末状にします。



このとき使う擦り棒は堅木で出来た、
一握りより大きいものであるべきです。



その胡粉は、磁石のように
(※滋気を含むが如くなれば)
鉢に付着しますので、それを練るのに
足りる程の膠を入れて練磨します。


すると胡粉はその膠とよく練られて、
粘着力を持つようになりますので、
それを手のひらに取り、
団子のように丸めましょう。




丸めた胡粉は、元の鉢の中か、
汚れていない木の板に、数回打ちつけます。

これを「石打」と言います。




そして、石打した胡粉は、
全体に膠気を滲み出させてツヤツヤとした
光沢がでてきます。

よく膠が染み出して、打ちつけた皿や板に
付着するくらいを目安にして、
胡粉を潰して元の鉢に戻します。



その上から熱湯を充分に注いで
しばらく置いておき、冷めないうちに
湯を捨ててしまいましょう。





残った胡粉に少しの膠を入れてすぐに練るか、
またはその鉢を火にかけて湯掻くか、
どちらにしてもそのお湯は捨てて、
それに少しの膠を加えます。



胡粉が充分に練れたら、擦り棒を持ったまま、
その手の中指と人差し指とで水を掬って、
擦り棒に付いた胡粉を伝い落としながら
溶きおろします。

画材と技法秘伝集p56を見た所、正しかったようである。



その胡粉はあたかも餡かけ葛のように
ドロドロに溶けて完成しますので、
胡粉が入った鉢にはホコリが入らないように
蓋をして保管をします。






このやり方で練った胡粉を使うときには、
まず絵具皿に膠を溶かしておきましょう。



次に練り上げた胡粉を絵具皿に取り分けますが、
鉢に沈んだゴミなどが混じらないように、
上澄みをさじにすくって入れてください。



こうして溶かした胡粉を白色として使うか、
またほかの色を混ぜて使うか
どちらにしてもその濃淡は、
水で加減しなくてはいけません。






このやり方で皿に溶かした胡粉が
中秋の頃から、翌年の初夏の頃までの間、
その溶けているのに任せて固まれば
膠の分量は丁度良いと言えます。



しかし、夏の間は固まることが
ありませんので、胡粉の試し塗りをします。



溶かした胡粉を他の紙に塗って乾かして、
それに墨を薄く塗って(隈をほどこして)
その墨が程よく伸びれば膠の分量は適しています。



一方で、もし墨を弾くときは、
膠が利きすぎているということです。


また、隈とりをして胡粉の表面が
剥がれてしまった場合は、
膠が利いていないという意味です。



そうは言っても、これらの事柄は
まだ彩色に熟達していない人々に対して
示す一例です。


このやり方で練った胡粉が
鉢の中で乾きそうなときは、
その鉢を(?)か火であぶり、
それに少量の膠を加えて練り擦り、
水で溶きおろして用います。



また、冬の膠が凝結するころには
胡粉は乾きやすいので、
胡粉の鉢に水を注いで置くのも可能です。



ただし、胡粉は上澄みを使い果たしたとき、
および臭いを発した時はすぐに捨てます。

沈殿胡粉ー 方ドメ胡粉の作り方

狩野家では従来彩色の仕立てに用いていた
胡粉は「方ドメ胡粉」と呼ばれ、
必要な時には、描く人自身が作っていました。


そこで、ここではそのやり方を説明します。




「方ドメ胡粉」が必要な時には、使う前日に、
その日使う胡粉をいつもより多量に作っておきます。




そして当日(使う前日)の作業を終えたら、
その胡粉の鉢に熱湯を充分注入し、
それを擦り棒で攪拌します。


すると、その熱湯が白い上澄みになります。




この上澄みは、非常に細かい胡粉であり、
荒い胡粉やゴミなどは下に沈んでいますので、
これを見斗らいて(見計って?)、
それらが混じらないよう、
上澄みだけを他の器に移し、
それに仮蓋をして一晩置いておきましょう。




翌朝になって見てみると、
純白だったお湯の上澄みは清水となり、
下に沈殿した物はとても良質な
水干胡粉
となっています。




この清水を捨ててすぐに使うようにします。



そしてこの胡粉を使う時にも
絵具皿に少量の膠を溶かして、そ
れに取り分けて使います。


このやり方で作った「方ドメ胡粉」は、
最初に多量の膠を入れて、
綿密に練って作ったものを、
さらに特別に、水干した胡粉です。


なので、美人や子供の額隈、
もしくは花などの「返り隈」などに使う時は
隈のきわが滑らかに消えて、
たいへん優美に見え、

その他すべての毛を描くときに
細い面相筆で毛描きをしても、
描いている途中で線が消えてしまうような
欠点がないので、
極めて鮮明な細い線を引くことができます。

まとめー日本画の胡粉とは?塗り方・使い方を解説【丹青指南現代語訳】

以上、胡粉の溶かし方、使い方の解説でした。

この二つの方法は、一例にすぎず、
作家さんや流派によってやり方は違います。


よければ他のサイトさんや、youtube、

書籍なども参考にして、自分にとって効率的な
胡粉の使い方を探してみて下さいね!



個人的には、いつもの
「日本画 画材と技法の秘伝集」

の購入をおすすめしています!


また、

「MAU造形ファイル」も画像が多くて
分かりやすいサイトです!

こちらは無料なので、ぜひ見てみて下さい!

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原文が本で読めるようになりました!

参考資料ー日本画の胡粉とは?塗り方・使い方を解説【丹青指南現代語訳】

今回の記事の作成にあたって参考にした
ホームページや本の一覧です!

興味がありましたらぜひ読んでみて下さい!



MAU造形ファイル 胡粉

“日本の白”、胡粉(ごふん)をご存知ですか/そうだ京都、行こう

丹青堂

ゆめ画材

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