8/1 新刊『日本画の絵具と色彩』発売されました!

狩野派の日本画技法書「丹青指南」の作者、市川守静って誰?

こんにちは、日本画家の深町聡美です。

第3回目の今回は、
編者履歴部分の現代語訳です。



前回、前々回の繰り返しが多いので、
今回はサクッと本題だけ掲載しますね。






これまでの記事はこちらから!

日本画の精神を、狩野派の技法書「丹青指南」を現代語訳して解説!

胡粉の剥落を防止するには?「丹青指南」を現代語訳②緒言

丹青指南のまとめは画像をタップ!

➡狩野派による日本画解説書「丹青指南」を現代語訳

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編者来歴(編者履歴)

一、

私は幕末安政年間に、故狩野探原氏
(故深美氏の実兄で、現探岳氏の実父)の工房に
入りました。




そこで絵画と共に全ての絵具のことを
学んでいたちょうどその時、

幕府の西丸城が不慮の火災で、
すっかりなくなってしまいました。





そこで狩野家は新しい城の制作を受注し、
私はその部屋の、装飾画の彩色を担当していました。



西丸城の他にも上野の寛永寺や
芝の増上寺などで仏堂の装飾画に、
彩色する仕事もしていました。


それらの経験上、私は濃厚な着色方法は
身に着けることはできました。



しかし、私は元々不器用で、化物のひとつさえ
満足に描く事ができなかったため、
絵は研究の途中で、描くのを止めてしまいました。




それから三〇年近く経った今日において、
世の中の絵画の彩色は、
手抜きで軽薄になっています。




それゆえ絵画が色彩を永久に保つ事が
できなくなった
のを見て、
私は怒りに嘆かざるを得ません。



今から三四年前の頃、
書道家である故坪井山舟と古筆了信の二名が、
未熟な私に対して、

「この本を書いて公にしなさい」

と勧められたことがありました。




私は断ることが出来ずに、
最終的に請け負うことになりました。




それから暇があれば、下書きを書いていたものの、
一体どうしようかと悩みました。





もとから私は文章を書くのが下手なうえに、
久しく描くのをやめてしまった絵のことなので、

思い浮かぶのに任せて一通り書き記したら、

また後から思い浮かぶこともありました。




それらを書き入れながら、

ついにこの一冊の本を、完成させることができたのです。




ドーサ液のことから絵具の種類、

その使用方法にいたるまで順序を正しく区別して、
複雑になりすぎたところは削除して、
足りないところは補足して、

ようやく形にできましたが、

文章が拙くて多くの部分が思っていた
出来にはなりませんでした。




ですので、至らないところは
大目に見て頂ければ幸いです。




大正四年晩春七十四翁探春市川守静著

日本画の技法書「丹青指南」に関する参考サイトなど

・国立国会図書館デジタルコレクション

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現代版丹青指南!日本画のバイブルです。

・CiNii図書

日本の図書館からページのコピー(複写)を購入できます。

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