こんにちは、日本画家の深町聡美です。
「野外で爽やかにスケッチをしてみたい!」
「旅先で出会った風景を描きたい!」
同じ風景を記録するにしても、
スケッチならスマホのカメラで撮るより
心がこもった感じがしますよね。
旅先から絵手紙を出してみるなんて、
素敵なことも出来ちゃいます。
ですが、いくらスケッチが素敵でも
イーゼルや椅子を持って行くのは大変ですよね。
そんな
「気軽にスケッチできる道具はないかしら?」
というあなたのために、実際に筆者が使っている
オススメのスケッチ道具をご紹介します!
道具の解説は「スケッチブック」の
見出しからになりますので、
読み飛ばしたい方は下の目次から飛んでください。
まずは結論です。
Contents
結論ー野外スケッチの目的によって持って行く道具は変わる!
スケッチの目的を何にするかで、
持って行く道具は変わります!
- 動物園スケッチ
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/suketti.jpg)
- 小さいスケッチブック
- 水筆ペン
- 透明水彩パレット
- 鉛筆
- 消しゴム
- 野外スケッチ
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/suketti2.jpg)
- 大きいスケッチブック
- 透明水彩パレット
- 不透明水彩
- 不透明水彩用パレット
- 筆
- 筆洗
- ペットボトル(水)、
- タオル
- 折り畳みイーゼル
- 折り畳み椅子
- どこでもクロッキー
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/suketti3.jpg)
- 小さいメモ帳やノート
- 鉛筆
- 透明水彩パレット
- 水筆ペン
+カメラや帽子、バッグなど
それぞれ必要な物。
まずは試しに、軽装で
野外スケッチに行ってみましょう。
そこで足りない物や課題が見つかったら、
それをカバーするように道具を揃えて行きます。
これを繰り返せば、あなたにピッタリの
スケッチスタイルが見つかりますよ!
しかし何も考えずに沢山道具を揃えても、
宝の持ち腐れになるだけかも……?
ではどういう視点でスケッチに必要な
道具を選べばいいのでしょうか?
野外スケッチの道具選びにまず必要な事―目的を立てる
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2020/12/question-mark-3255140_1920-1-1024x576.jpg)
まず考えておくと良いのが、
スケッチの目的です。
しかし、おそらく考えなくても
「こんな感じのスケッチをしたいな~」
というイメージが、
頭に浮かんでいるのではないでしょうか。
例えば、
- 旅先で出会った風景を描きたい
- 動物園で動物を描きたい
- ササッと描きたい
- 細かい所までしっかり着色したい
などですね。
- SNSで見たあの絵みたいに描きたい!
でもOKです!
まずはゴールにする絵を決めておきましょう。
筆者はよく野外スケッチを行いますが、
- 動物園で作品制作のための取材として
スケッチをすることが多いです。
ではそのゴールを阻む、
課題になりそうなことは何でしょう?
「動物園で作品制作のための取材として」
を例にすると、このような課題点が
浮かび上がります。
・開園時間から閉園時間まで、ほぼ立ちっぱなし。
・広い園内を歩き回らなくてはいけない。
この二つが集中力の低下を引き起こすと
考えられますね。
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/upset-g0fa98a2e8_1280-1024x683.jpg)
この課題をクリアするには、
出来るだけ軽装でそして体力を温存する
のが良いですよね。
すると、
・軽い道具を持って
・椅子は持って行かない
というように、必要な道具が絞れるのです。
- スケッチの目的(画風)をはっきりさせる
- それを達成するための課題を想像する
- 課題をクリアするような道具を揃える
この順序でイメージしていくと、
道具選びに無駄がなくなりますよ。
スケッチブック
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_0048-1024x768.jpg)
スケッチする上で最も大切と言える道具。
それがスケッチブックです。
今回は筆者が使ったスケッチブックを、
「動物園スケッチをするなら?」の視点で
ランキングにしてみました。
- オススメ第一位 MUSE SC-9055 B5
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_0053-1024x768.jpg)
MUSE製、B5サイズのスケッチブックです。
大きめのバッグに入れても
余裕があるサイズです。
リングが短辺にあるため
描くときに邪魔になりません。
特に、左手で支えるときに
邪魔にならないのがお気に入りポイントです。
また表紙が厚く、支える時にストレスになりません。
デメリットは広げて描く事が出来ないこと。
横に大きくなるときは、予め横向きで描くか、
別の紙に描いて後から貼るようにしましょう。
- オススメ第二位 マルマン図案スケッチブックA4
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_0051-1-1024x768.jpg)
こちらもMUSEと同じく
取り回しのしやすさが高ポイントです。
しかし、表紙が柔らかく、
長時間片手で支えるときの快適性は
MUSEの方が優れています。
また、このスケッチブック+絵具を入れると
カバンのサイズが大きくなってしまいます。
この「カバンのサイズ」というポイントは
どれだけ身軽さを重視するかによって
違うので、B5やA4などサイズが近いものは
好きな物を比べてみるのがいいですね。
- オススメ第三位 F4-HOMO
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_0050-1024x768.jpg)
F4サイズの大き目のスケッチブックです。
表紙がしっかりしており、
F4にもかかわらず
立った状態でのスケッチも苦になりません。
また、大きい=面積が広いので、
動物などの動く物のドローイングに向いています。
ポーズが変わってしまっても、
空きスペースに次のポーズを描き、
最初の形に戻ったら
前描いていたものに加筆する……
と、同時にいくつもスケッチが進められます。
つまり、効率がとても良いと言えるのです。
地面に広げれば広い風景もスケッチできます。
- 圏外 マルマン図案スケッチブックA3
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_0049-1024x731.jpg)
とても良いスケッチブックです。
実際筆者も三冊使っていますが、
最初に設定した目的である
・動物園での立った状態でのスケッチ
・身軽さを重視
には向いていません。
しかし最大の魅力であるA3という大きさは、
腰を据えて描く時に非常に重宝します。
椅子に座っての風景スケッチはもちろん、
小下図を描き並べて構図を検討するときにも
便利ですよね。
さて、このようにスケッチブックひとつでも
あなたのスケッチの目的で、
選ぶべきサイズは違います。
- 番外編 ノート・メモ帳
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_0066.jpg)
「もっと絵を上手く描けるようになりたい!
だから、どこでもクロッキーをします!」
そんな熱心なあなたには、
もっと小さいスケッチブック……
さらに、無地のノートやメモ帳がおすすめです。
「外で目についたものを何でも描く!」
という時に最も必要なのは
手軽さといっても過言ではないでからです。
絵が上手くなるクロッキーの方法はこの本に書いてあります!
▶「絵はすぐに上手くならない―デッサン・トレーニングの思考法」で、絵とイラストが上手くなる方法が分かる!【要約と感想】
画材屋さんにあるものから、
ス―パーの文具コーナーにあるものまで
たくさんの種類がありますので、
あなたの好みの物を選んで下さいね!
筆者はスケッチブック専用に用意した物ではなく、
メモ帳やスケジュール帳に描いています。
ポケモンカードのイラストレーターさんも
常に小さいスケッチ用具を持って
出歩いているそうです。
イラストレーター・有田満弘が語る、ポケモンカードゲームの余白と遊び/デザイン情報サイト[JDN]
記事中に出てくるスケッチブックは
これではないかと思います⇩
筆記用具
鉛筆
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/02/draw-2303845_1920-1024x683.jpg)
硬さやメーカーなどは、お好みで選びましょう!
ただ注意点が二つあります。
ひとつ目は、あらかじめ研いでおくこと!
鉛筆削りを持って行っても良いですが、
削りカスが出てしまいますよね。
ゴミ箱が少ない場所に行くのでしたら
削った鉛筆を複数本持っておくと安心ですね。
ふたつ目は、長い鉛筆を用意すること!
コンパクトで使いやすいからと、
短くなった鉛筆を、持って行こうとしていませんか?
予言しますね。
指が痛くなります!
特に長時間のスケッチには圧倒的に不向きです。
もし短い鉛筆しかないのであれば、
鉛筆ホルダーで伸ばして使いましょう!
ボールペン
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/jess-bailey-ycTvvg1mPU4-unsplash-1024x768.jpg)
鉛筆に慣れてきたら、
ボールペンで描いてみるのも楽しいですよ!
三色ボールペンの好きな色で
ドローイングをして、
水彩で軽く色を乗せるだけでも、
雰囲気があるスケッチになります。
消せないので、緊張感あるスケッチを
したい方にもおすすめです!
※伝聞なので真偽は分かりませんが、
ボールペンの方を使った方が、
早く上手くなるという話もあります。
消しゴム/ねりけし
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/eraser-gcd91fb549_1280-1024x681.jpg)
普段使いの消しゴムで問題ありません。
ねりけしは、必要な時に持って行くのがいいですね。
クロッキーのような
素早い作業が必要になる描き方では、
消しゴムの方が便利ですし、
そのような場合では紙が傷んで
困るという事も少ないからです。
逆に、野外でしっかりと作品を仕上げたいと
思っている方はねりけしも持って行きましょう。
持って行く時はジッパー付き袋に入れるなどして、
他の画材と接着しないようにするべきです。
特に、新しいねりけしと鉛筆、布袋の相性は
とても良くて、すぐにくっついてしまいます。
着色道具
水筆ペン
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/10/IMG_8943-1024x785.jpg)
水彩で着色する際に便利なのが、水筆ペン!
軸がスポイトのようになっており、
中に水を入れて置く事ができます。
軸を強く持つと少しずつ水が出てきて、
筆洗を使わなくても
筆に水を含ませられるようになっています。
筆を洗う時も水を出して
タオルやティッシュで拭えばOK!
大中小、平などサイズも豊富なので、
複数本持っておくとスケッチ中の
ストレスを減らせます。
どの水筆ペンを購入するか迷った時は、
こちらの記事も参考にしてみて下さい。
透明水彩パレット
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_5515-1024x749.jpg)
市販のスケッチセットも良いですが、
筆者はアルミ製の名刺入れを改造して自作しました。
こちらはとても軽量で小型なので
ポケットにも入れられます。
しかし、その分混色に使えるスペースは狭いというデメリットも。
時間をかけて風景を描く方や、
色をリアルに描きたい方は
大きいパレットを持って行くのが良いですね。
顔彩
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_7496-1024x707.jpeg)
透明水彩のように使える不透明水彩です。
筆者はパレットや梅皿は持ち歩かず、
12色セットだけで描いています。
この使い方をすると必然的に色が濁るので、
もしあなたが、
彩度が高い色や純色を使いたいなら、
水彩か色鉛筆を使うことをオススメします!
しかし、この濁った色が
動物の毛の複雑な色を描くには適しています。
顔彩の詳しい使い心地はこちらでレビュー!
色鉛筆
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2020/11/PAK85_iroenpitunaname131310_TP_V-1024x523.jpg)
水が要らないので環境にも優しいですね。
油絵を描く知人は、
動物園スケッチでは色鉛筆を使っていました。
落として無くさないようにしましょう!
不透明水彩
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2020/11/PAK35_enogutoparetohude_TP_V-1024x682.jpg)
野山の風景を数時間かけて、まるで写真かのように細かく描写していくタイプの方は、
透明水彩と共に不透明水彩も使っているそうです。
透明水彩だけなのか、不透明水彩も使うのか。
人によりけりではありますが、
持っていると表現の幅が広がりますね。
筆洗/ペットボトル
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/water-g2dc171b3e_1280-1-1024x685.jpg)
トリオ筆洗(三重筆洗)や折り畳み式の
ビニール筆洗がオススメです。
ペットボトルや水筆ペンだけでは
水が濁ってしまいますので、
色合いを重視する作品作りをされる方は、
層が分かれた筆洗を使いましょう。
バッグ/リュック
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/old-youth-n8RAEcEEnpo-unsplash-1024x683.jpg)
画材が揃ったら、
最後にそれを入れて歩けるバッグを用意します。
おそらくスケッチブックの大きさに
合わせる事になるでしょう。
筆者の場合は動物園スケッチや
クロッキーが主目的なので、
大きなバッグは使っていません。
頭陀袋(サコッシュ)にスケッチブックや
軽量の財布を入れて出かけています。
それ以外の道具はウエストポーチや
腰袋に入れて、思いついたときに
描けるようにしています。
画材屋さんに行くとスケッチセットや
スケッチバッグが多数置いてありますので、
あなたが持って行きたい道具と比べてみて、
適切なサイズを選ぶと良いですね。
ウエストポーチ/腰袋
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/bag-g8df4f9ee4_1280-1024x610.jpg)
動物園スケッチをしていると、
動物が移動してしまって
今いる場所から描けなくなることが
ありますよね。
その度にバッグに道具を仕舞っていると、
なんだか腰が重くなりませんか?
そうでなくても
「まだ足りないけど、見えなくなったから
次の動物に行こうかな」
「何度も出し入れするのは面倒だなあ」
……
長時間のスケッチでは、
この「面倒だなあ」の重なりで、
集中力が下がってしまう事があります。
それを防ぐために、
筆者はウエストポーチ、腰袋を使っています。
動物が移動してしまっても、
水彩セットや鉛筆ごとポーチに入れてしまえば、
いちいちバッグを開けて片付けなくても
気軽に動けます。
また、園内の散策も楽になります。
途中で意図せず良い景色に巡り合えた時にも、
すぐに描き出せるので便利ですよ。
一眼レフカメラ 望遠レンズ
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/camera-g5f9f03034_1280-1024x682.jpg)
動物は動き回っていますから、
一瞬のポーズを描くのは大変!
しかも時間配分を間違えちゃって、
目当ての動物に着いた時には閉園10分前!
そういう時のためにもカメラは必須ですよね!
スマホカメラも便利ですが、
動物園のように遠くのもの(動物)を撮る上では
一眼レフカメラのズームレンズがあるとベストです。
スマホカメラのズームでは荒くなってしまう写真も、一眼レフなら鮮明に撮れるんですよ。
動物園でズームレンズを使う場合、
「オートフォーカス」という
自動でピントが合う機能はオススメしません。
ピントが合うのに時間がかかってしまうのです。
なので、動物のあくびを撮ろうとしたのに、
シャッターが下りたのはあくびが終わった後……
動物の真顔だけが溜まっていくことも有り得ます。
多少ピンボケすることがあっても、
マニュアル(手動)でピントを合わせれば
シャッターチャンスを逃しません。
野外スケッチのオススメ道具まとめ―最終的な装備
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_0050-1-1024x768.jpg)
野外スケッチの道具は、
どんな絵にしたいかで決まります。
なので、まずは
- スケッチの目的(画風)をはっきりさせる
- それを達成するための課題を想像する
- 課題をクリアするような道具を揃える
の順序で必要な道具を準備しましょう。
その上でオススメの道具は、
- 動物園スケッチ
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/suketti.jpg)
- 小さいスケッチブック
- 水筆ペン
- 透明水彩パレット
- 鉛筆
- 消しゴム
- 野外スケッチ
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/suketti2.jpg)
- 大きいスケッチブック
- 透明水彩パレット
- 不透明水彩
- 不透明水彩用パレット
- 筆
- 筆洗
- ペットボトル(水)、
- タオル
- 折り畳みイーゼル
- 折り畳み椅子
- どこでもクロッキー
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2021/12/suketti3.jpg)
- 小さいメモ帳やノート
- 鉛筆
- 透明水彩パレット
- 水筆ペン
+カメラや帽子、バッグなど
それぞれ必要な物。
になります。
皆さんも道具を揃えて、
天気が良い日にはスケッチにでかけませんか?
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![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/02/analogillust.jpg)
![](https://nihongago.com/wp-content/uploads/2022/01/日本画のきじはこちら!.jpg)
スケッチの目的によって、道具は変わる!