こんにちは、日本画家の深町聡美です。
日本の伝統色のひとつ「黄土色」
なんとなく使っている黄土色ですが、
実は1色ではないことをご存じでしたか?
今回の記事では黄土色の原料や
語源を紐解きながら、
日本画絵具の黄土の作り方の詳しい手順を
図解付きで解説していきます!
アクリルガッシュで作りたい時はこちら!
⇒黄土色をアクリルガッシュで作る方法4選!【画像付きで解説!】
Contents
黄土とはどんな色?黄色い土の色!


黄土色とは
「くすんだ赤みの黄」のこと。
「黄褐色」「らくだ色」と同じとされています。
そして、
読んで字のごとく黄色い土の色です。



えっ、それだけ?
どこの黄色い土なの?
という感じですよね。
黄土とは世界中どこにでもある
黄色い土の色なんです。
実際、正解中の黄色い砂が
「黄土」という絵具で売られています。
(これは次の章でお話します!)
赤土と同じく世界最古の絵具(顔料)
のひとつでもあるんですよ。
日本画絵具の黄土は種類が多い!


日本画絵具の黄土は
大きく分けて二種類あります。
- 岩黄土(岩絵具)
碧玉(ジャスパー)等が原料の絵具 - 黄土(水干絵具/泥絵具)
黄色い土が原料の絵具
この記事では水干絵具の黄土について
お話します。
水干絵具の黄土の主成分は含水酸化鉄。
Fe2O3・nH2Oです。
さらに、珪酸塩鉱物も含んでいます。
主な原料は世界中の砂!
春先に中国から飛んでくる黄砂だって
黄土の原料なんです!
ほかにも以下の黄土があります!
- 敦煌黄土
- 独逸黄土
- 仏蘭西黄土
- モロッコ黄土
- 聚楽黄土
(京都 聚楽第付近で採れる土) - 稲荷山黄土
いなりやまきづち
(京都 伏見で採れる土)



本当に世界各地で採れるんだね!
また、加熱すると赤茶色になる
とされています。
気を付けたいのが、
・黄土は固い水干絵具
・沈殿しやすい絵具
ということ!
これに気を付けて、
水干黄土を作ってきましょう。
水干絵具の黄土の作り方
①よく擦りつぶす


まずは絵皿に黄土を出し、
乳棒でよく擦りつぶします。
前述したように黄土は固い絵具!
破片状になっていてそのままでは溶けません。
もし粒が大きいまま使うと
絵に粒が付いて汚れてしまいます!
乳棒がない人は水干絵具の瓶で潰しましょう!
また、黄土を紙に挟んで鉛筆や瓶を転がし擦る
ということもできます。
②膠で練る


十分細かくなったら
膠を加えて指で練ります。
乾燥した部分が残らないようにしましょう!
通常は粉末に膠を浸し、
接着力を高めてから水で溶きます。
しかし、
先に水を入れて練りやすくすると良い
という話もあります。
③水を加えて溶く


その後は水を加えて使いやすい濃さに調整。
④ティッシュで濾す


それをさらにティッシュで濾して、
不純物を取り除きます。
濾さなくても使えますが、
不純物を濾過することで発色が良くなります。



ひと手間かけて、綺麗な絵を描きたいね!
以上で水干黄土が完成!
他の水干絵具、泥絵具も同じ作り方です。
色々な絵具を試してみましょう!
丹青指南での黄土の作り方


狩野派の技法を伝える本「丹青指南」
大正時代の本ですが、
この本にも黄土の使い方は掲載されています。
ここからは狩野派の黄土の使い方を
ご紹介していきますね!
ちなみに丹の作り方とほぼ同じです!
①よく擦りつぶす


まずは乳鉢に入れて、乳棒で丁寧に粉状にします。
乳鉢に入れていますが、
基本は先ほど紹介したやり方と一緒ですね!
本には
乳鉢の底に付着するくらい細かく
と書かれています。
②膠で溶く


乳鉢の黄土に、膠を入れて良く練ります。
指でも乳棒でも構わないと思います。
黄土の粉末全体にしっかり膠が付いたら
水を注いで溶きましょう!
③上澄みを絵皿に取り分ける


さて、黄土は丹以上に沈みやすい顔料と
されています。
今回も、丹同様に沈んだ
上澄みだけを絵の具皿に取り分けましょう!
④皿を炙る


黄土の上澄みを絵皿ごと弱火にかけます。
半乾きになるまで待ちましょう!
※完全乾燥しないように注意!
こちらも電熱器や保温トレイで加熱するのが
一般的だと思われます。
⑤また膠で溶く


炙って半乾きになったら、
膠を少量加えて、再度指で練ります。
最後にお好みの濃度に水で溶かして完成!
まとめー日本の伝統色 黄土の作り方


以上、黄土色の作り方を解説してきました。
黄土色が、本当に黄色い土の色というのは
驚きですよね!
皆さんの近くでも黄土色の絵具が採集できるかも!?
採取できたらぜひ、膠を混ぜて絵具として
使ってみて下さいね!
- 黄土色は世界中の黄色い土の色
- 黄土色は世界中の黄色い土が原料
- 日本画の黄土色はよく潰して使うのがコツ!
初心者にオススメの少量黄土!!
日本最高峰とも言われる
美しい黄土です!
黄色すぎない黄土がいい!?
そんな筆者はこれが好き。
丹青指南現代語訳


今回も狩野派の技法書「丹青指南」を
独自に現代語訳しました。
ただ、使い方は丹と同じとのことです!



ちゃんど原文を読むにはどうすればいいの?
そんな時は国立国会図書館のサイトでチェック!
全文を無料で読むことが出来ます!
また、正確な訳や詳しい図解が欲しい!
という方は画材と技法の秘伝集がおススメです!
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一、黄土
この絵具は土質のまま作った物なので、
水に沈殿しやすいのは丹以上です。
しかし、練り方、使い方などは
すべて丹と同じです。
日本画グッズまとめ!
溶けてる膠!
最初から液体だから、
溶かさず使える便利な膠!
初心者から上級者まで
オススメの膠です。
(ちょっと薄いかも?)
絵具を使う時の必需品
日本画絵具を溶くときは
パレットじゃなくて
絵皿を使います!
大きさもいろいろ!
絵具を擦りつぶせる便利な道具
固い絵具を潰す時に使うのが
乳棒と乳鉢!
胡粉を練る時にも使うので
一個は持っておくと良いですね!






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