8/1 新刊『日本画の絵具と色彩』発売されました!

【山鹿観光】チブサン古墳を見学したので由来や特徴をまとめてみた!

こんな人にオススメ!
  • カラフルな模様のネタが欲しい!
  • 古墳に興味がある!
  • 山鹿温泉の観光スポットを知りたい!
  • 古墳ってアートだよね!


こんにちは、日本画家の深町聡美です。

みなさんはチブサン古墳をご存じですか?


チブサン古墳は
熊本の温泉地、山鹿温泉付近にある
隠れた名所です!



なんと皆さんが絶対知っている
日本を代表するあの芸術家からも
絶賛された、必見の古墳
なのです!



今回はそのチブサン古墳の見学が
できましたので、
調べた事、見どころをレポートしたいと
思います!



結論はこちら!
  • チブサン古墳は1500年前のカラフルな壁画が残る古墳!
  • チブサン古墳の由来はオッパイ!
  • チブサン古墳は土日祝の一日二回、内部見学ができる!
  • チブサン古墳の壁画に岡本太郎も絶賛!



チブサン古墳とは?どんな古墳なの?


チブサン古墳は、熊本県山鹿市にある
6世紀前半(中頃という解説有)
に作られた前方後円墳

国指定史跡になっています。



古い古墳のため石室からの遺物は
見つからなかった。
要するに盗掘されていたようです。



しかし周囲からは埴輪や石人
(石で作られた人形)、
壺などが発掘されています。




九州地方の古代文化を伝える
重要な古墳
であると言えますね!

熊本県はカラフル古墳の宝庫!

熊本県 菊池渓谷
https://www.photo-ac.com/main/detail/3899876




山鹿市博物館のパンフレットによると
熊本県、特に菊池川周辺には
沢山の装飾古墳があるのだとか!



「装飾古墳」とは儀式的な模様が
着色および彫刻された古墳
で、
九州地方に多く分布しています。


装飾古墳は5世紀から7世紀にかけて作られ、
全国で650基発見されていますが、

熊本県にはそのうち190基以上が
存在しているそうです。




熊本県だけでこれだけの
装飾古墳が見つかっているということは、

この辺りが大きな国の中心だったり
したのかもしれませんね。


熊本県菊池川流域に装飾古墳が多いのは、
阿蘇山噴火によって古墳づくりに
丁度良い石材が生まれたからだそうです。




チブサン古墳に描かれている絵は何?

熊本県インターネット放送


チブサン古墳を一際有名にしているのが
石屋形のカラフルな模様でしょう。


赤、白、青(黒)の三色の顔料
ひし形や丸形、三角、人物が描かれます。


※黒色は「黒に見えるけど青色顔料説」、
「黒色顔料が使われている説」
「青とは灰色顔料のこと説」があり、

実際何色の顔料なのか良く分かりませんでした。

関連記事はこちら!

⇒代赭(岱赭)とはどんな色?顔料の使い方は?【日本画】

⇒絵具の顔料とは何だろう?種類を分かりやすく解説します!



顔料とは?

顔料とは色が付いた粉のこと!
古代では赤土や砂を絵具の代わりにして
色を塗っていたんです!

装飾古墳の場合、
赤:ベンガラ
(チブサン古墳の場合阿蘇黄土を焼いたもの)
青(灰):青灰色粘土
黒:マンガン土、木炭
白:白土


これらの土が使われていたことが
分かっています。

多孔質な石材が使われていたため、顔料が良く染み込み、
長期間剥落しませんでした。

レプリカの右壁
筆者撮影



右側の壁には七つの玉と、
冠を被った人物が描かれています。




正確には分かっていませんが、
現在の研究では埋葬された王様と
儀式のための七枚の鏡
ではないかと
考えられています。



ドラゴンボールとスーパーサイヤ人
言っている人もいました。



みなさんは何に見えますか?



チブサン古墳の由来は乳房から



では奥の壁の目玉のような模様
一体何なのでしょうか?


こちらも正確には分かっていません。


ですが後世、
この模様が女性の乳房に見えたことから
「乳房さん」と呼ばれ信仰されました。



ここでお祈りをすると母乳が出るようになった
と伝承され江戸~明治に信仰を集めたのだそう。


近年まで、乳の神様として
甘酒を備える風習が残っていたと言います。


その「乳房さん」が訛って、
「チブサン」と呼ばれるようになったと
語り継がれています。



オブサン古墳
筆者撮影

お産の神様もセットで!
近隣にある「オブサン古墳」も
チブサン古墳と共に
お産の神様として祀られていました。

こちらは「産ぶさん」から
「オブサン」に転じたと言います。


チブサン古墳へ行ってみた!

山鹿旅行中に偶然発見!



ここからが本題です。



チブサン古墳に行ってきました!




今回チブサン古墳に行けたのは
全くの偶然。



数年前に
九州の古墳と岡本太郎の関係(後述します)
を何かの本で読み、
チブサン古墳の見学を希望していました。


しかし交通の便が悪いため
行けないものと思っておりました。



それから数年。


たまたま熊本県の山鹿温泉に行った所、
旅館の観光マップにチブサン古墳の名前が
あるではないですか!


【重要】チブサン古墳には駐車場があります!

駐車場の案内もほしい!


山鹿温泉からチブサン古墳までは
車移動がおすすめです!




距離があるので徒歩は大変だと思います。


近くにバスが通っているようなので
車がない方はそちらをご利用ください。



そして我々は車で来たものの、
駐車場の有無が不明でとりあえず
路駐して進んでみることに…





なんか普通に大きい駐車場がありました。


チブサン古墳の看板が立つ細い山道の先に
駐車場があるので、

がんばってください!



名物!チブサン古墳の石室がお出迎え!

石室内部のレプリカ




駐車場から出ると、
石室内部のレプリカが出現!



コンクリとペンキの
「いかにも観光地」っぽい感じが
旅情を感じさせます。




チブサン古墳から出土した宝物の
レプリカが並んでいます。


石人は九州国立博物館に展示されているようです。



こういう、古墳にある説明文って
充実していて良いですよね。


思わず読みふけってしまいます。


チブサン古墳は意外と大きかった!


「わ~でっかい石碑!」


いい感じの石碑?に近寄ると…



その石碑よりさらに大きい丘陵が出現。




石屋形の小部屋のイメージが
先にあったので小さいと思っていましたが、
意外と大きい古墳です。


前方後円墳ですが
開墾などで削られ、変形しています。


けっこう丸いですね。





近隣にはお産の神様
「オブサン古墳」があります。


チブサン古墳⇒オブサン古墳
⇒山鹿市立博物館


という道順でぶらりと散歩できそうです。



チブサン古墳の見学は一日二回だけ!

チブサン古墳 2
Kidono|flicker


ここまで来たら
あの、有名な装飾を見たくなりますよね!


ありがたいことに
チブサン古墳の内部は一般公開されています!

一般公開時間
  • 日時:土、日、祝日
    【2023/1/2現在】
  • 10時と14時 各10名
  • 一般 100円 高校生以下 50円
    (団体割引あり)
  • 申込先:山鹿市立博物館
    (TEL0968-43-1145)

    詳細:山鹿探訪なび


今回申し込みはしていませんでしたが、
10時の部に参加出来ました。


予約者がいて、
人が少なければ飛び込み参加が
できそうな雰囲気です。




チブサン古墳見学レポート

足腰にくるタイプ

というわけで古墳内部に
入れることになりました。


まずはガイドさんに参加料100円を
渡します。



ガイドさんの先導で厳重な扉を抜け、
うす暗い階段を上ります。



けっこう薄暗く、急な階段なので
足元にはご注意下さい。

石室ツアーのイメージ



その先の小さい扉をくぐり抜けると
そこはもう古墳時代。


1500年前の石壁と石天井が広がります。


入り口は狭いですが、
中は大人が立てる程度の広さ。

湿度は高いです。



その先には石壁に取り付けられたガラス。

向こう側にはあの石屋形が!

実物は百倍すごい



ガラス越しではありますが、
レプリカでは分からない色の鮮やかさ、
石壁の質感、模様の細部まで観察できます。



隣にあるオブサン古墳にも着色の形跡が
見られますが、すでに失われています。


湿度や温度が良かったからこそ
奇跡的に装飾が残ったのですね。



撮影不可のため詳細を載せられません!
ぜひご自身の目で見て下さいね!


チブサン古墳と岡本太郎の意外な接点

画像:パブリックドメインQ

チブサン古墳は現在こそ
壁画で有名な古墳です。



しかし、その評価は以前は
そこまで高くなかったと言います。



その理由はこちらの壁画。

不明 – https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/takamatsu_kitora/takamatsu_gaiyo/west_joshi_s47.html, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2059541による



高松塚古墳の壁画です。


同じ古墳の壁画でありながら、
写実的で繊細な描画ですね。


一方、装飾古墳と呼ばれる
模様的な壁画はシンプルな図形ばかりです。


そこで昔の美術界では、装飾古墳は
「美術的に劣った壁画」と考えられていました。

というのは筆者のうろ覚えです。
美術論文誌「國華」の記述だったはずなので
ご存じの方いらっしゃったら教えて下さい。




そこに待ったをかけたのが岡本太郎。

チブサン古墳の壁画から強い生命感と
エネルギーを感じ取った岡本氏は、
九州の古墳壁画を高く評価しました。




九州観光機構によると
この文章は朝日新聞社刊「装飾古墳」序文
見られるそうです。


【追記】↑Amazonでは取り扱いが無いので
日本の古本屋からご購入下さい。






今回はこの一次資料を入手できなかった為、
言及がある二サイトから引用します。


岡本太郎によるチブサン古墳の評価について

この「壁画古墳」と「装飾古墳」について、あの岡本太郎氏の論評が面白い。
以下、引用すると、『高松塚古墳など、明らかに大陸からわたってきた職人芸ではないか。 この土地の生活・思想と必然的に結びついているわけではない。大陸の巨大な権力体制の下にできあがったパターンをそっくり移してきてなぞった、手先だけの職人芸だ。これに対して、九州の装飾古墳は、その土地で、その共同体の中から、自然に、そして切実に生まれてきた表情だ。それは今日の芸術ポイントから言っても、より根源的な意味と強烈な広がりをもっているのである。』と述べている。なるほどである。

応用化学科構造有機化学研究室

芸術家の岡本太郎氏は、九州の装飾古墳の壁画を評して「その土地で、その共同体から自然に、切実に生まれてきた表情だ。それは今日の芸術のポイントから言っても、より根源的な意味と強烈な広がりをもっているのである」と述べています。

耳納風土記⑦

要するに

  • 装飾古墳は人々に必要とされて生まれた独自の描き方である。
    それには他に代えられない価値がある。

と岡本氏は考えたということです。


外からもたらされた技法ではなく
暮らしの中で必要とされ、
考えられ(意味付けされ)
編み出され、新しい技法になった。



その生々しさを伴った表現
芸術家の心を打ったのかもしれません。





山鹿市にはチブサン古墳のグッズがたくさん!

旅館 寿三
筆者撮影


ちょっと難しい話が続いたので

たのしいお土産の話をしましょう!


山鹿は温泉地!

温泉に浸かって
チブサン古墳のお土産を買って、
たのしく帰るまでが遠足です。

博物館ではポストカードが!


山鹿市立博物館では入館しただけで
ポストカードが頂けます!


画質が良いので具に見たい人は
絶対入手しましょう!


山鹿市立博物館は上述した
チブサン古墳の見学ツアーも企画しています。



また、チブサン古墳に関する展示
行われています。
興味がある方はHPで確認して下さい。



山鹿市立博物館
営業時間:9時~17時
(入館16時半まで)
休館日:月、祝日の翌日、年末年始
入館料:一般270円、高校生以下70円
(山鹿市内の小中学生無料)
山鹿市立博物館|山鹿市


山鹿温泉ではバッグとTシャツのお土産を



アンティーク布の雑貨屋さん
古布屋藍椿(こふやあいつばき)さんでは
チブサン古墳のバッグとTシャツ
販売されています!


石屋形奥壁の目玉模様が
モチーフになっていてインパクトが
ありますね!

古布屋藍椿(こふやあいつばき)
〒861-0501 山鹿市山鹿1704-1
定休日:水、木
営業時間:11時~19時
詳細&取扱商品|山鹿探訪なび
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通販でもチブサン古墳Tシャツ&バッグが買える!


MONKEYSTRIP SHOP さんでは
通販でTシャツとバッグが購入可能!


こちらは石屋形右壁の王様?模様が
モチーフになっています。

着るだけで王様気分ですね!


「チブサン古墳は好きだけど
目玉模様は強すぎる!」

という方も着易いデザインです。




関東にチブサン古墳の厄除守り!?


神奈川県川崎市の
稲毛神社(いなげじんじゃ)には
なぜかチブサン古墳のお守りが!



こちらは「二ツ目厄除守」と言って、
目玉の模様=厄を寄せ付けない
というイメージのようです。

稲毛神社
〒210-0004
神奈川県川崎市川崎区宮本町7-7
~川崎山王社~稲毛神社
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チブサン古墳へのアクセス



チブサン古墳付近ヘはバスが通っています。



乗り換えがありますが、自家用車がなくても
観光できるのは良いですね!



チブサン古墳は山鹿温泉から徒歩40分
少々遠方にあります。

山鹿温泉を経由する場合は車で行くのが
便利です。


チブサン古墳
〒861-0554 山鹿市城字西福寺

・山鹿バスセンターから南関ターミナル行きに乗車、石村で下車、徒歩8分

・福岡空港国際線からリムジンバス福岡空港線熊本桜町バスターミナル行に乗車⇒小原で下車⇒小原(南関)に移動し山鹿市役所行きバス乗車⇒石村で下車、徒歩8分

・JR鹿児島本線・新玉名駅から山鹿バスセンター行バスに乗車⇒山鹿バスセンターで下車⇒山鹿バスセンターから南関行に乗り換え⇒石村で下車、徒歩8分



チブサン古墳まとめ



以上、熊本県の装飾古墳、
チブサン古墳についてまとめました!

  • チブサン古墳は熊本県にある日本の代表的な装飾古墳
  • チブサン古墳は母乳の神様として信仰され、
    「乳房さん」から「チブサン」になった。
  • 「太陽の塔」の岡本太郎がチブサン古墳の芸術性を見出した。



近現代のアートにも影響を及ぼした
すごい古墳
であることが分かりましたね!



皆さんも、九州に来た際は
ぜひチブサン古墳まで足をお運びください!


古墳のロマンを楽しもう!


チブサン古墳
〒861-0554 山鹿市城字西福寺

・山鹿バスセンターから南関ターミナル行きに乗車、石村で下車、徒歩8分

・福岡空港国際線からリムジンバス福岡空港線熊本桜町バスターミナル行に乗車⇒小原で下車⇒小原(南関)に移動し山鹿市役所行きバス乗車⇒石村で下車、徒歩8分

・JR鹿児島本線・新玉名駅から山鹿バスセンター行バスに乗車⇒山鹿バスセンターで下車⇒山鹿バスセンターから南関行に乗り換え⇒石村で下車、徒歩8分

内部一般公開
  • 日時:土、日、祝日
    【2023/1/2現在】
  • 10時と14時 各10名
  • 一般 100円 高校生以下 50円
    (団体割引あり)
  • 申込先:山鹿市立博物館
    (TEL0968-43-1145)

    詳細:山鹿探訪なび




チブサン古墳っぽいグッズを
まとめました!

装飾古墳ガイドブック



装飾古墳CD?


古墳への愛が爆発している
古墳シンガーによるCD!
ジャケットがチブサン古墳です。


ハローハロー岡本太郎~





チブサン古墳の参考/関連資料とリンクまとめ

当記事は下記の資料とサイトを
参考にしてまとめました。

旅館内の案内看板


山鹿温泉の中心にある「さくら温泉」には
狩野派の絵師が描いた天井絵もあります!


絵描きさんはそちらも要チェック!






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