8/1 新刊『日本画の絵具と色彩』発売されました!

【日本画】冬に固まる膠の保温に必携!便利アイテムを一挙紹介

こんにちは、深町聡美です。

冬になると困る事は沢山ありますが、
その中の一つに、膠や絵皿がゼリー状に固まって
絵が描けなくなることがある人も多いのでは?



今回の記事では、その制作のストレスを解消する
便利なアイテムを紹介します!





これさえあれば冬場の制作もストレスフリー!

一番自分にぴったりだと思う物を選んでみて下さいね!

結論

・冬の膠、硯は約25度に保温をするべき!

・保温には電気チョコレーターや保温トレイが便利!

・ホットカーペットは意味が無い!

冬になると膠が固まる?対策は保温に有り!

膠の保存は冷蔵庫に!と言われますよね。

動物性の素材なので、常温では腐ってしまうのがその理由です。

では、冷蔵庫にしまって、次に使う時に取り出すと
どのような見た目になっていますか?

そうです。ゼリーのようにプルプルに固まっています。

ゼリーも冷やしたら固まりますよね。



このように、膠は寒い所に置いておくと
固形になる性質がありますが、

冬の寒い日、通常の室内であっても
このように固まる事がよくあります。

膠だけでなく、それが入った墨や絵皿も
すぐプルプルになっています。



水温が18度以下になると、
膠は急激に固まってしまうのです。



こうなると、いちいち湯煎しなおして液状にして、
またすぐにお湯が冷えて固体化し……

と、ろくに絵が描けません。

そこで大切なのが、いかにして保温をするかです。



そのための様々な器具があるわけですが、

ここにも問題があります。

・沸騰しない
(膠の接着力が弱まるため)

・陶器の絵皿を温められるほどの温度になる


この二点を最低限守っておく必要があります。


これに加えて、筆者は安全性についても重視しました。

・放置が可能か
(高温にならないか・沸騰して空だきにならないか)

・触れた際に火傷のリスクがどれくらいあるか

この四点を吟味して、様々なレビューや
SNSの情報を探り、最終的にベストなアイテムに
辿りつく事が出来ました!

膠の保温にオススメなのは、電気チョコレーター!


最終的に、今回購入してみて、
お勧めするのがこの商品です。

鍋やフライパンで有名な日本企業
パール金属株式会社による電気チョコレーター!

名前の通り、電気でチョコレートを溶かす器具です。
チョコフォンデュも作れます。
なにより小さく多機能ですが、千円代とかなり安価です。


意外にも一度に入れられる液体の量は多く、
最大約600ccとなっています。

一度にここまで大量の膠を使う事は、ほぼないので
かなり余裕がありますね。

また鍋は取り外し可能で、洗浄も簡単でした。


メリット

・保温、加熱、OFFの切り替えができる

・低温なので沸騰しない、少しなら点けっぱなしでもOK

・低温なので誤って触ったりしても火傷しない

デメリット

・知らない内に蒸発して濃くなりがち

・鍋が小さめなので膠しか温められない。
(工夫すればお湯を保温、上に膠、絵皿などもできるかも)

他に購入を悩んだのが、Twitterで見かけた
こちらのツイートの、東芝保温トレイです。

品物自体は何十年も前から販売しているらしく
古い物はメルカリなどのフリマアプリで
1000~2000円代ほどで購入可能です。


他のサイトや画材店でも話を聞く、
日本画家の中ではメジャーな保温機です。

大きさは20×20cmほどで、
上記ツイートの、陶器の筆洗にも丁度いいサイズですね。




しかし、レビューによると温度調節ができず、
コンセントの抜き差しだけでの操作だそうです。

高温になり沸騰するという意見もありました。



また、長時間の制作中は、
周りに目が届かなくなりがちですし

徹夜などで注意力が落ちているときには
電源の消し忘れなどがありそうで、
少し不安ではあるところです。

という訳で、今回は

保温機能があり、高温になりすぎず、操作が簡単な

電気チョコレーターを購入し、使い心地を
調べてみました!

膠の保温に最適な、チョコレーターのレビュー!

今回試してみた使い方は、



鍋部分に溶かした膠を入れ、

ダイヤルを操作して加熱し、

温かくなったところで保温する方法です。


購入時に、沸騰しないというレビューを見て

かなりの低温なのではと思い、鍋に直接膠を入れてみました。


パッケージ画像でもチョコを鍋に直接
入れて湯煎しています。

徐々に温度が上がるのに加え、
高温にならないように作られており、

見た目上、熱くなっているようには見えませんが、
寒い部屋に放置していても全く膠が固まりません。


そしてサイズが小さいので
机の上での作業が簡単になりました。


以前はお湯を張ったボウルに、膠を入れた器を入れていたため、
ボウルの分の面積のせいで絵具を広げにくい状況でした。

問題点としては、低温で時間をかけて温めているために

膠の水分の蒸発に気付きにくいことです。




長時間の保温により水分が蒸発し、
煮詰まっているような状態になる場合があります

その際には水を加えて好みの濃度に戻す必要があります。



これを防ぐ為にも、やはりお湯を鍋に入れて、
その中に、膠小瓶を入れるのが良かったかもしれません。


水分が蒸発するとは言っても、

作業中の6時間ほど、保温にしていましたが、
蒸発しきるようなことはなく、

誤って夜間に電源をいれたままにしていても
すぐに危なくなるような感じではありませんでした。


片付けの際も、鍋部分が取り外せることで
膠が入った鍋ごとラップをして、
冷蔵庫に入れられるので大変便利です。

ただやはり、鍋に膠を直接入れると
直火と同じになっているのではという懸念が
ありました。



お湯を保温しながら、その中に
膠入りの瓶を入れておくのが良いですね。

その他、膠の保温に仕えそうなアイテムを紹介!

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

にかわ保温ポット Hide Glue Warming Pot
価格:8,800円(税込、送料別) (2024/1/21時点)


こちらはバイオリンなどの弦楽器制作に
用いる道具のようです。



電熱器、湯煎用耐熱ガラス、膠溶解用ガラス小瓶
などがセットになっています。

しかし同梱物が多いせいか、7000円越えと、
それなりに高値になっています。


こちらは硯を保温するためのシートです。


墨にも膠が含まれていますので、
寒くなり硯が冷たくなるとプルプルの塊が発生して、
上手く使う事ができなくなります。

また、墨の成分(煤すす)が水に充分溶けきれず、
発色や伸びが悪くなってしまいます。


そのため、墨を擦る前に硯を温めておく
必要があるのです。

およそ25度に自動で保温され、
危険性が少ないとパッケージに書いてありました。



個人的には、硯の保温は勿論の事、
広さがありそうですので絵皿を広げて使いたい
のですが、そのやり方でのレビューがなかったので
今回は見送りました。

ありそうなのにない!膠の保温に効果が無かったのは……?



広範囲に敷けて、温かくなって……


と言えば、すぐに思い浮かぶのは
これではないでしょうか?



ホットカーペットです。


一人用から安価なものが販売されており
これが活用できれば最高だったのですが、

残念ながら全く効果がありませんでした。



このような人間用のホットカーペットと、
さらに、カイロを試したことがありますが

どちらも効果が無く、陶器の器は冷たいままです。




当たり前ですが、人間が触れた時の適温と、
陶器の皿を保温する適温は、
全く異なっていたんですね。


保温に必要な温度は、人間が長時間身に着けるには
熱すぎたということなのです。

もし試しにホットカーペットを使ってみよう!
と思っている方は

素直にマグカップを購入して、
熱湯を入れて膠を湯煎した方がベターです!

まとめ

・冬の膠、硯は保温をするべき!

・保温には電気チョコレーターや保温トレイが便利!

・ホットカーペットは意味が無い!



次の記事はこちら!

前の記事はこちら!

日本画関連の記事はこちら!

狩野派の日本画技法書「丹青指南」の現代語訳はこちら!